予約至難のイタリア料理店〈チニャーレ〉が手がける「パン+α」の店〈PANEVIA〉。
松見坂の交差点から徒歩すぐ、淡島通りにオープンした〈PANEVIA〉。オーナーの東森俊二シェフは、松見坂と学芸大学で予約至難のレストラン〈チニャーレ・エノテカ〉〈チニャーレ ヴィーノ エ パーネ〉を経営し、食通はもちろんファッション、カルチャー界など幅広い層から支持されるイタリア料理人だ。
「レストランで開業時から提供している自家製パンが、ありがたいことにお客様にとてもご好評を頂いています。毎日の仕込みの中でも、パンづくりに割く時間や手間は少なくなく、パン専用の工房を構えたいと考えたのがきっかけです」(東森)
焼きたてのフォカッチャは〈チニャーレ・エノテカ〉の名物の一つ。自身が厨房に立つ同店では、ゲストの予約時間に合わせ、ディナーのサービス中に4回もフォカッチャを焼き上げる。パンは専門店から仕入れるレストランも多いが、東森が“自家製”にこだわるのには理由がある。
「独立前にイタリアで4年間、修業をしていたのですが、師匠の1人がイタリアでも有名なパン・菓子の職人で、やはりレストランでパンを作っていました。イタリア料理は、レシピよりも“手”の味がものを言う。自家製生パスタと同じで、パンも店で焼けば、それが店の味になると思うのです」(東森)
東森のフォカッチャは、シンプルで軽やかな味が特徴だ。ローズマリーやオリーブオイルの香りをガツンと効かせたフォカッチャもあるが、レストランのパンは料理のソースをぬぐうものなのだから、シンプルでよいというのが信条。焼きたてのふわふわも最高だが、少し時間が経ってもっちりしてからもおいしい。
ナッツ入りのカンパーニュは、レストランでは一杯目のワインのサーブと同時に提供する、いわばアミューズ的な一品。もちっとした生地と香ばしいナッツが引き立て合い、なるほど、そのままでワインのつまみに最高だ。