海外で高評価のアール・ブリュットって何? 美術館長が高校生に授業
同校では正規の美術教育を受けていない作り手が衝動のままに作成した作品「アール・ブリュット」(生の芸術)をテーマに外部の講師を招いた授業を実施している。アール・ブリュット作品を集める県立美術館でディレクターを務める保坂館長が昨年に引き続き、登壇した。
保坂館長は、県立美術館の運営方針に「美術」や「芸術」を掲げず、「これがアートだと決めつけるのでなく、見る人に『どう思うか』を問いかける方針だ」と説明。日本のアール・ブリュット作家の作品や海外での高い評価を紹介した。一方で、美術史を基準とした評価とは合わない側面もあるとして、「美術史から外れたのがアール・ブリュット。アートや美、美しさの基準とは何か考えてほしい」と問いかけた。
参加した2年の鈴鹿結生(ゆき)さん(16)は「今日聞いた話を経験に、アール・ブリュットとは何かを考え続けたい」。保坂館長は「アール・ブリュットを通じて、美術の奥深さ、ものの評価の尺度が多様と知り、そういう美術館が滋賀にあることを誇りに思ってほしい」と話した。【菅健吾】