今年の『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023』で見逃せない5つの展示。
昨年10周年を迎え、次の10年に向けて新たにミュージックフェスティバルをスタートさせるなど注目展示やイベントが盛りだくさんの『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023』。第11回目の今回は「BORDER=境界線」をテーマに、ファッションやデザイン、アート、ジャーナリズムなど幅広い分野で活躍する写真家やアーティストが参加し、市内19会場で実施される15のメインプログラムを楽しめる。中でも、見るべき注目展示をピックアップ。それぞれの見どころをお届けする。
高木由利子の『PARALLEL WORLD』は、12カ国で日常的に民族衣装を着る人々を撮影したシリーズ「Threads of Beauty」と、〈ディオール〉のために撮り下ろした新作などファッションフォトを”共時的に存在する二つの世界”としてパラレルに展示。会場構成は建築家の田根剛が担当している。空間に入ると大きな格子の木枠に表装した特大サイズの写真が連なるエピローグに圧倒される。
3つに分けた展示空間の中でも、Point(点・個・瞬間)をテーマにつくられた2部屋からなる展示室では、床から伸びた展示台が何台も規則正しく並び、それぞれにふたつの世界を凝縮。ここではカラー写真は苦手だという彼女が白黒写真に着色した作品も並ぶ。Line(線・連続・系統)をテーマに作られた展示空間では連作や関連性をもたせた作品を、Surface(面・共存・混沌)では2つの世界を行き来する彼女の作品群を一同に畳の上に広げることで、それぞれの視点から高木の40年間の多彩な表現方法を俯瞰できる。障子の合間から望むことができる庭に写真を立て展示するなど、風景との調和も印象深い。