ル・コルビュジエのサヴォワ邸を “騙し絵の家具” が彩る。
モダニズム建築の巨匠、ル・コルビュジエの代表作といわれる〈サヴォワ邸〉。「白い館」というイメージの邸内に、鮮やかな色が溢れる展覧会が開催中。ミラノを拠点に活躍するビジュアルアーティスト、ナタリー・デュ・パスキエとル・コルビュジエの世紀を超えたコラボレーション『シェズ/彼らの家で』が話題だ。
普段は家具や調度を一切置かない〈サヴォワ邸〉に、色や形によってボリュームや奥行きを感じさせる“騙し絵”のような絵画、木製の構造物、オブジェなど全12点の作品が配された。それらは抽象作品であるにもかかわらず、どこか暮らしの気配を感じさせ、展覧会に訪れていることを忘れさせるほど空間に溶け込んでいる。
1980年代初頭のデザインムーブメント〈メンフィス〉を共同創始したナタリーは、デザインとアートの両分野で幾何学的なフォルムとモジュール性に取り組み、色や形によるセンシティブな体感を追求してきた。その作品が、ル・コルビュジエが邸にもたらした建築内部での体感とともに、訪れる人に心地よい調和を感じさせる。
「作品展示というより、私はこの家のハーモニーを崩さぬように “家具” を入れたのです。この家の空間と私の作っているものに、繋がりがあると感じたから」
探求した結果ではなく、自然に共鳴したのだというナタリー。世紀を超えた二つの才能が交差し、互いを引き立てる、稀なる〈サヴォワ邸〉を体感したい。
タイトル『彼らの家で』はサヴォワ一家を念頭に。~2022年9月25日。〈Villa Savoye〉82, rue de Villiers 78300 Poissy。10時~17時。月曜休。8ユーロ。