特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」(東京国立博物館)レポート。暦に生贄、計画都市……魅力溢れる出土品で辿る数千年の歴史
冒頭は、古代メキシコの文明をダイジェスト的に見ることができる「I 古代メキシコへのいざない」。紀元前1500年頃にメキシコ湾岸地方に誕生した最初期の古代文明であるオルメカ文明から、マヤ文明、アステカ文明、テオティワカン文明まで、注目の出土品が展示される。
《オルメカ様式の石偶》は紀元前1000~400年と非常に古いもので、ヒスイのつるんとした表面となんとも言えない表情が愛らしい。じつは半人半ジャガーの幼児像で、オルメカ文明の宗教的観念を表すものだと考えられる。
自然環境はメキシコの文明に大きな影響を与えてきた。ジャガーはアメリカ大陸最大のネコ科の動物で、食物連鎖の頂点。同時に神への生贄として捧げられたり、毛皮のために狩られてきた。マヤ文明からも《ジャガー土器》(600~950)が出品されている。
その横の《フクロウの土器》(250~600)は、よく見ると蓋の上部にフクロウの頭部がついていてなんとも可愛い。このレプリカをどこかの食器メーカーから出してほしいくらいだ。夜行性のフクロウは、死を予言すると考えられていたらしい。
マヤ文明の《球技をする人の土偶》(600~950)。ゴムボールを使った球技はオルメカ文明から現在に至るまでメソアメリカ各地で行われてきた。