『顔隠したミスコン、容姿重視にNO!大学で見直し続々、新趣向に挑む学生も』への皆さんの反応まとめ
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「あえて顔を隠したコンテストを企画しました」。立命館大の学生が2021年、少し変わったミスコンを開催した。出場者は全員匿名で、各自が手作りした「お面」を着用。顔や肌、髪形といった外見をなるべく出さないための工夫だ。
企画者の一人、文学部3年の女子学生は「これまでのミスコンではどうしても容姿が評価基準の一つになってしまっていた。容姿に自信を持てない人や、引っ込み思案の人が自分らしさを表現できる場をつくりたかった」と趣旨を話す。
会員制交流サイト(SNS)などで21年5月に出場者を募ったところ24人の女性がエントリー。半年に及ぶ審査期間では、欠点を含め「個性」を引き出すことに努めた。外国料理を想像だけで作ってみるイベントを通して、料理の腕ではなく発想のユニークさを評価。一日を千円でどう楽しく過ごすかを案内してもらう企画では、その人ならではの価値観や行動力、プレゼン力が垣間見えたという。
SNSやスタッフら約150人による投票で選ばれたファイナリスト7人には多彩な面々がそろった。内気で詩を書くのが好きな人や過去に心を病んでしまった人もいた。21年12月の最終投票で初代グランプリ「ミラクルガール立命館」を決めたが、順位や得票数は公表しなかった。
グランプリになった学生は「顔を隠すことで今まで表現できなかった自分を出すことができた。私自身、容姿に惑わされていたのだと気付いた。他の出場者やスタッフと仲良くなれたことで自分を少し好きになれそう」と振り返った。
一方、SNSなどでは「出場者が女性だけなのはおかしい」といった否定的な意見も寄せられた。多様な価値観を認め合うにはどうすべきか、運営スタッフはよりよいコンテストに向け模索するという。
同志社女子大は21年8月、大学祭のツイッターアカウントでミスコンの中止を発表した。理由として「外見主義的であり時代錯誤であるという意見があり、多様性という観点から開催しなくてもいいのではないか、という結論に至りました」と記し、インターネットで賛否の声が挙がった。同大学広報課は「21年は開催を見送ったが、ミスコンの『廃止』を決定した訳ではない」とする。
法政大は19年、「多様な人格への敬意」に相反するとして、容認しないとの声明を発表。上智大は20年、性別を問わず、自己PRやスピーチ力、社会課題の発信力を審査する新たなコンテストを始めた。東大などの学生らでつくる「ミスコン&ミスターコンを考える会」など、コンテストの中止を求める学生団体も発足している。
大学で相次ぐミスコンの変化をどう見るか。ジェンダー論、社会学が専門の高橋幸・武蔵大非常勤講師に聞いた。
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女性を外見で評価するミスコンに対する批判は、フェミニズム運動とともに1970年代から続いてきた。実際、3サイズの公表や水着審査など、露骨に女性を性的モノ化するようなミスコンの制度は見直されてきている。
ただ、大学という準公的な場で、外見の美しさといった「女らしさ」を押しつけているという課題は解決できていなかった。男性対象のミスターコンテストも併催されてきたが、その男女二元論的な在り方が、多様な性の在り方を排除するものになっていた。
外見ではない新たな評価基準を設ける学生たちの試みは、男/女らしさに対するアンチテーゼとして重要だ。背景には近年、ジェンダーに対する理解が若い世代を中心に広がっていることがあるだろう。今後も募集要項から性別規定を廃止したり、大学名を冠したミス/ミスターコンという名称を変えたりするなど、さらなる見直しが必要だ。