水戸市の新市民会館オープン 被災から12年、芸術に触れる拠点に
記念式典で高橋靖市長は「この地にこの規模で建設することに賛否両論あったが、多くの方のご協力で完成させることができた」と謝辞を述べた。開館で、中心市街地の活性化やコンベンション機能の強化を目指すとしている。
式典では、狂言師の野村萬斎さんによる「三番叟(さんばそう)」が披露されたほか、作曲家でピアニストの野平一郎さんが、自身で選定したスタインウェイのグランドピアノで3曲を演奏した。式典に参加した水戸市の会社員、直井和代さん(63)は「東京に行かなければ見られなかった舞台などが、水戸で見られるようになるのは楽しみ。市民も活用できて、気軽に来られる場所になってほしい」と話した。
市は開館に合わせて、さまざまな無料イベントを実施する。やぐら広場では、設計した伊東豊雄さんが手がけた五つの代表的建築のパネルと模型が見られる「公共建築はみんなの家である」展を開催中。午前8時半~午後10時、10月9日まで。また7月4日まで生け花の展示、市内外の気鋭の美術家による作品の展示も17日まで続く。
新市民会館は地上4階、地下2階で、延べ床面積は2万3232平方メートル。旧施設から倍増となる2000席のグロービスホール(大ホール)のほか、会議室や板の間などを備える。事業費は2023年度当初予算までで累計192億4000万円。反対する市民団体が事業費返還を求める訴訟を起こした。1審・水戸地裁判決で棄却され、控訴している。