金の紋様、輝き再び 宮本武蔵の肖像画、修復終え10月公開 熊本
「武蔵像」は縦71・5センチ、横28・8センチ。江戸初期、武蔵の没後に狩野派の流れをくむ絵師が描いたとみられる。大小二刀を持って立ち構える姿で、数多く残る武蔵の肖像画の元になったとされる。武蔵が説いた二刀流の兵法「二天一流」を継いだ熊本藩士の寺尾家に伝わったという。
一方、経年劣化で全体が茶色く変色し、横折れや擦れも目立っていた。このため島田美術館が熊本の専門業者に依頼し、2021年5月から修復を開始。絵を水にぬらして裏紙からはがし、折り目などを和紙で補強した。その過程で汚れも落ち、朱色の肩衣に隠れていた金の紋様が浮かび上がった。
修復作業に協力した市文化財課の松永直樹さんは「有名な絵だからこそ展示で日本中を飛び回って劣化も進んだ。今回の修復で武蔵の表情や絵の精緻さが際立った」と説明。島田美術館の清川真潮・館長代理も「貴重な文化財をより良い状態で後世に残す役目を果たせた」と話した。【森健太郎】