小麦畑に放たれた「未完の馬」 麦稈ロールにパネル 写真で発信
神田の作品を常設展示する町内の神田日勝記念美術館の開館30周年記念事業。「『未完の馬』のいる風景プロジェクト」と銘打ち、美術館のシンボルでもある未完の馬を畑地と一体化させ、「早世の農民画家」が愛した十勝の風土と画業を伝えるのが狙いだ。
若手農業者らの実行委員会が5月末からパネル16枚を製作。撮影の担当は畑の防疫を考慮し、アマチュア写真クラブ「鹿追光画会」と鹿追高校写真部のメンバーだ。撮影初日は光画会の8人が参加した。
青空の下、直径約1・7メートルの円筒状の麦稈ロールを撮影用に並べ、パネルを1枚ずつ取り付けて、参加者がさまざまな角度からシャッターを押した。光画会の井関一会長(83)は「畑に点在する麦稈ロールは十勝らしい風景といわれている。写真で日勝の作品と地域の魅力を伝えたい」と話した。
町内在住で神田の妻、ミサ子さん(82)も現場を訪れ、この日の風景を想像してつづったという「馬が走るよ二本の足で……」などと記した詩を披露。「馬に語りかけられている気がしますね。世界中、どこまで走って行くのかな」と感慨深げに見守った。
写真展は神田の命日(8月25日)に合わせ、8月23~27日に町民ホールで開かれる。【鈴木斉】