「人形浄瑠璃」公演、ニューヨークで盛況…親子の情愛などに国籍や世代を超えた普遍性
――2018年に始まり、19年以来のニューヨークで公演だった。
「市中心部にある日系人会館が3回とも舞台だった。改装し客席は70席だったが、満員の観客だった。『あまり早く案内するとすぐに埋まるから』と言われるほど、期待が高かったようだ」
――演目は。
「五穀豊穣を願う『三番叟』で始まり、唐津にちなむ『松浦潟』などの日本舞踊と三味線。その後、人形浄瑠璃の『傾城阿波鳴門』を披露した。最後は『炭坑節』を三味線で弾き、みんなで踊った。5人で渡米し、約1時間半務めた。終わった時に拍手が鳴りやまず、『こんなに楽しかったことはない』『これからもずっと来てください』とお礼を言われた」
――外国人にも人形浄瑠璃がしっかり理解されている。
「上演前に、解説をボランティアの同時通訳で行ったことも幸いした。親子が離れて暮らさざるを得ない悲しい運命や親子の情愛といった深いテーマ性を分かってもらったようで、喜ばれた」
「舞台あいさつで、『今こうして公演できるのも、親をはじめ亡くなった人たちのおかげだと感じている』と話した。終演後、『あのあいさつが良かった』とわざわざ話しかけてくれる米国人もいた」
――国籍や世代を超えた普遍性を感じたのだろう。人形浄瑠璃にはそういう世界観がベースにある。伝統芸能の強さなのか。
「そう思う。また三味線の持つ力も大きい。あの音色に乗って語ることで、ストーリーも心地よく受け入れられるのだと思う」