「STEAM教育」本格化へ 茨城・つくば 研究者と教室つなぐ
市立二の宮小で行われた授業には、2年生約80人が参加。「身近なSDGs(持続可能な開発目標)をさぐろう」をテーマにクラスごとに「エネルギー」「気候変動」「海の豊かさ」「陸の豊かさ」を題材に選んだ。国立環境研究所や農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)などの研究者と教室をウェブ会議システムで結び、自分たちが調べたことを発表して疑問をぶつけた。
「陸の豊かさ」のクラスでは、班ごとに「森の面積が減っていくのはどうしてだろう」「いま、動物はどんな環境で生きているのか」などを自分たちで調べ、研究者に「森では動物たちがどうしたら平和に暮らせるか」「自分たちにできる取り組みはあるのか」などを質問していた。
これに対し、農研機構の林健太郎首席研究員は「自分の周りにどんな生き物がいるのか関心を持って、よく見てみよう」などと答えていた。
児童らは、今後も学習を続け、疑問点はタブレット端末を通して研究者に質問することになっている。
松崎茅(かや)さん(9)は「世界で今、何が起きているのか分かりやすく説明してもらえてよかった」と感想を述べた。林首席研究員は「プロに出会って、『研究者になりたい』と、子供が夢を持たなければ日本の科学は育たない」と話す。
つくば市は令和元年度から、STEAM授業を体験型イベントや一部の小学校で試行的に実施。しかし、ここ数年は新型コロナウイルスの影響で本格的な取り組みができなかった。今年度、学校の規模に応じた授業プランの検証が進んだことから、来年度以降は希望する市内の全小中学、義務教育学校に拡大することにしている。(篠崎理)
◇STEAM Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字を組み合わせた教育概念。これらの教科の横断的学習で問題の発見や解決を図ることを目的としている。