『大阪ビル放火事件容疑者の「殺意とヤバイ金銭問題」』へのユーザーの意見まとめ
【画像】中学時代の谷本容疑者
12月17日午前、大阪市北区のビルに入る心療内科『西梅田こころとからだのクリニック』で発生した放火事件は、火がほぼ消し止められるまでのわずか30分間で、西澤弘太郎院長(49)ら25人の命を奪った。
殺人と現住建造物等放火の疑いが持たれているのが、大阪市西淀川区在住の谷本盛雄容疑者(61)だ。容疑者はクリニックの入り口付近でガソリンの入った紙袋二つを蹴り倒し、ライターで火を点けた。また、ビル火災の直前、谷本容疑者宅では出火騒ぎが起こった。現場からはガソリンが検出されたことから、谷本容疑者が「予行演習」を行ったとみられる。
自宅で起こしたボヤを尻目に、容疑者は自転車の荷台にガソリンとライターを載せ、3.5㎞ほど離れたクリニックへと向かったのだ。
犯行に使われたガソリンは、11月下旬に谷本容疑者が西淀川区のガソリンスタンドで調達したものだ。携行缶でガソリンを買う場合、身分証と使用目的の確認が必要で、スタンド側は販売記録を残すことが義務付けられている。
「谷本容疑者がガソリン10リットルを購入した記録がスタンドに残っていました。その際、谷本容疑者は『バイクに使う』と理由を説明したそうです。ところが、捜査の結果、容疑者がバイクを持っている事実は確認できず、とっさについたウソの可能性が高いです」(捜査関係者)
谷本容疑者の自宅からは、犯行現場となったクリニックで処方された薬の袋が発見された。また、〈消火栓をどうすべきか〉〈隙間をなんとかしなければ〉といった旨が記されたメモも見つかっている。前もってガソリンを準備し、犯行計画を示唆(しさ)するメモまで残されていた。「明確な殺意」を推し量るには十分な事実だ。
◆土地を差し押さえられて
動機を解明するうえで焦点になるのが、容疑者の人生に横たわる「空白の10年間」の存在である。
谷本容疑者は’02年から、大阪市内の板金工場で勤務していた。’08年には妻と離婚、’10年には工場を退職。その後、’11年4月に長男の頭部を出刃包丁で切りつけ、殺人未遂容疑で逮捕された。元妻と次男も道連れにし、一家無理心中を企てていたことが明らかになっている。
「妻と離婚したあと、谷本容疑者は復縁を迫りましたが、にべもなく断られた。寂寥(せきりょう)感を積み重ねた谷本容疑者が、一人では踏ん切りがつかず、家族を巻き込んで死のうと考えた末の犯行でした。この事件で、谷本容疑者は懲役4年の実刑判決を受けましたが、出所後の足取りについて、警察はまったく把握していなかった。定職には就(つ)かず、どう生計を立てていたのか不明です」(在阪新聞記者)
出所後、大阪市内で転々と住む場所を変えていた谷本容疑者。市内には、谷本容疑者が権利を持つ土地が数ヵ所ある。なかには、板金工場を営む父親の死後、相続した土地もあった。だが、そのうち1ヵ所は’16年、別の1ヵ所は’19年に、市税事務所に差し押さえられている。
「谷本容疑者が所有する物件から家賃収入を得て暮らしていた可能性はあります。ただ、複数の土地が別の時期に差し押さえられていることから、慢性的に金銭問題を抱えていたことも犯行の引き金になったかもしれません」(全国紙社会部記者)
なお、’16年に差し押さえられた土地はその後、差押登記が抹消されている。この土地に建っているのが、犯行の日まで谷本容疑者が暮らしていた3階建ての一軒家である。
「電気・ガスは止められており、『犯行の数日前に初めて住んでいることを知った』と話す近隣住民もいれば、『少し前に明かりがついているのを見た』と言う住民もいます。谷本容疑者は周囲に普段から『薬が合わない、病院が悪い』とクリニックへの不満を漏らし、診断にも納得が行かないようでした。生活が追い詰められ、息を潜めて暮らしているうちに、恨みの矛先を病院に向けていったのではないでしょうか」(前出・社会部記者)
一家心中未遂に及んでから10年間、谷本容疑者は何を考え、なぜ罪のない人々を凶行に巻き込んだのか。真相が明かされなければ、あまりにもやりきれない。
『FRIDAY』2022年1月7・14日号よりFRIDAYデジタル