地味オジが女装裏アカで男子高校生と出会って人生が「映える」まで
出版社の販売部に勤める不動敬一は「映え」とは無縁の地味な毎日を送っている。部下から軽んじられながらも淡々と仕事をこなし、コンビニ弁当を買って独り身の部屋への帰路につくありふれた42歳中年男性だ。だが彼の中にも行き場のない承認欲求と強い孤独感がくすぶっていて、それを長年放置した結果……。
脚だけの女装が密かな趣味となっていた。
中学生の頃にクラスの女子から脚の綺麗さを褒められた経験が忘れられない敬一は、やがて女物のストッキングやハイヒールを身に纏い自室で自撮りをするように。そして1年前からはSNSで裏垢を作り、女性として発信をするようになっていた。
脚の自撮り写真への「いいね」でささやかな承認欲求を満たしつつ缶ビールをあおる……それが敬一にとってのかけがえのない大切な時間だった。