Supremeなど海外ブランドも注目!「京提灯」小嶋商店・10代目が広げる新しい提灯
10代目を継いでいるのは、小嶋俊さん・諒さんの兄弟。兄の俊さんが京丹後に拠点を移し、諒さんが小嶋商店の代表に。いま、海外のデザイン&インテリア業界から熱い注目が集まっています。小嶋諒さんにお聞きしました。
写真=町田益宏(京都伝統産業ミュージアム) 構成・⽂=池尾 優
<写真>「Supreme」と共同で制作した提灯。形やロゴの位置など、細かい調整を何度も行ったすえ完成した。
古くから日本では、提灯は生活に欠かせない存在でした。特に京都では、神社仏閣への奉納や、花街や料亭の看板に用いられることも多かったため、耐久性のある京提灯の技法が生まれ、いまに伝わっています。
竹ひごをらせん状に巻く「巻骨(まきぼね)式」製法が一般的なのに対して、京提灯は「地張り式」。輪にした竹ひごを平行に組みあげ、その一本一本に麻糸をくぐらせます。職人が1日で作れるのは、一般的なサイズで多くても3つ。作り手は減っています。注文の数は年々減り続け、家業に行き詰まりを感じてきたと言います。
「強度のある京提灯は、ろうそくをLEDライトに変えるなどのアレンジをすれば、室内照明の選択肢にも十分なりえます。ですが、一度廃れたものを再び生活のなかに戻すのがどれほど大変か、長年痛感してきました」それが近年、小嶋商店の京提灯が海外で注目を集め、熱い視線が注がれているのです。
<写真>竹ひご一本一本に麻糸を巻いていく「糸吊り」の工程。
2019年にはパリ装飾芸術美術館、2022年にはプラハの国立美術館から声がかかり、現地で京提灯製作の実演とワークショップを実施。2023年には、オーストラリア人デザイナーとのコラボ作品が「ミラノサローネ」に出品されました。
<写真>プラハの国立美術館で行った実演。五尺丸(直径約150cm)と呼ばれる大きなサイズの提灯を制作した。