映画「犬神家」舞台、歴史に幕 長野・佐久市の老舗旅館
売却を決めたのは旧中山道望月宿にある「井出野屋旅館」。木造3階建てで、築約100年という。劇中では「那須ホテル」として登場した。経営する4代目の井出忠昭さん(81)と妻勝子さん(78)によると、当初は料亭だったが戦後になり中山道の観光客が増え、旅館営業に切り替えた。
犬神家の一族は作家横溝正史が原作のミステリー。76年の公開映画では俳優の石坂浩二さんが金田一耕助を演じた。玄関を入りすぐに階段が目に飛び込んでくる構造などを市川監督が気に入り、撮影協力の依頼があったという。
撮影では、見物にきた学生らで人だかりができたほど。忠昭さんは「撮影中に電話が鳴らないよう受話器を上げていた」と懐かしむ。