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浅田稔が問う「人とロボットが共生する社会」に大切なこと
2022-07-26
浅田稔が問う「人とロボットが共生する社会」に大切なこと

急速な進化を遂げ、私たちの日常に溶け込み始めたAIやロボット。その開発者や研究者が思い描く、人とロボットがともに在る未来とは?


 開催中の「きみとロボット」展では、汎用人型重機「零式人機(れいしきじんき) ver.1.2」の操縦体験にいつも列ができている。その指先を握る紳士は開発者ではなく、同展の総合監修を務めた浅田稔である。日本ロボット学会前会長にして、国際的ロボット競技大会ロボカップの創設者のひとり。浅田が思い描く、右のイラストにもあるような“人とロボットが共生する近未来”は、会場に展示されるロボットや義肢、デジタルクローンなどを見ると夢物語ではないように思える。

「工学系の研究・開発者の多くは、利便性や機能を高めることに労力を使います。そしてロボットに人と同じ能力を求めるようになる。それを実現するためには、現状ではまだまだ技術が足りていません。たとえばセンサーも、人の視覚や聴覚に匹敵するまでには至っていない。一方で、ここ10年でAIは、長足の進歩を遂げています。深層学習やデータサイエンスも含め、かなりの膨大なデータを集めて解析する、ある種の自動化技術が発達し続けている。それはロボット以外のさまざまな分野で使われています。また音声認識、音声合成が実用化されたことで、AI技術の有用性はより高まりました」

(画像)
浅田 稔
1953年生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了。同大学工学部教授などを経て、1997年に同大学大学院工学研究科教授に就任。現・同大学特任教授。認知発達ロボティクスを推進し、国際的ロボット競技大会ロボカップを共同で創設。2019年に日本ロボット学会会長就任(任期は2020年度まで)。2021年4月からは国際工科専門職大学の副学長も兼任する
 AIは家電に使われ、人の暮らしに溶け込んでいる。音声認識、音声合成も、日常のあちらこちらにある。それらと同じように、ロボットが当たり前のように人と共生するために研究が進められ、浅田が「今、ホットな分野」というのが、ソフトロボティクスである。

「今は硬い素材のロボットが多いですが、人と共生するにはぶつかっても害を与えない柔らかい素材であるほうがいい。またアクチュエーター(動作をつかさどる機械装置)は、今は電気モーターとギアの組み合わせが主流ですが、これは制御しやすいけれど動物のようなダラ~んと弛緩した動きができない。それに代わるゴムや空気圧を使ったアクチュエーターの開発も進んでいて、これだと人に似た柔らかな動きをロボットができるようになり、より親密になれる」

 ロボットに用いられる技術は多岐にわたり、それらは専門家にとってはまだまだ進化の途中にあるのは事実であろう。しかし素人目には、驚くほどの速度で発達していると感じる。そしてロボットの進化に伴い、議論の俎上にたびたび上がるのが、倫理の問題である。

「ロボットに限らず、科学技術の進展には利便性と同時にリスクもあります。それでも人は、多くの科学技術を使いこなしてきた。そして若い研究者には、人工物は利便性、機能性だけを求めて設計してはダメだと、設計したものが世に出たときに、それが社会に対してどんな影響を与えるのかまで考えるべきだと、常々伝えています」

 設計者に倫理観を求める浅田は、ロボット自体にも倫理観をもたせられないかと、痛みを感じるロボットの研究を進めている。「痛みが不快であることをロボットが知れば、自分がやられたくないことは他人もやられたくないという、モラルが生まれる。また人との共感も高まります。ただ痛みにはさまざまな状況が関わっているので、それをロボットに埋め込むのは、非常に難しい。データサイエンスで集約できるのだろうか? 僕にとって大きなチャレンジです」

(画像)
ロボットアームやロボット脚でレジャーを楽しむ人、見守りロボットと外出する高齢者、アバターで世界中の仲間と会話を楽しむ人。緑の中、人とロボットが共生する近未来の日常風景

ソース元URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/f3a6029a47cfe64e8e35c6e60c031d75ca3f2613

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