わら納豆の冒険、絵本に 故和田誠さんら構想「自分の魅力発見して」
構想は、笹さんと和田さんが「納豆をテーマにした絵本を作ろう」と話したことがきっかけ。和田さんがイラストを描く予定だったが、笹さんが約10年前にストーリーを完成させたところ、「納豆を主人公にした絵を描くのが難しい」と言われ、立ち消えとなっていた。
和田さんは2019年に亡くなったものの、企画を知った編集者が笹さんに声をかけて出版企画が再始動。当初は納豆そのものが動くキャラクターで進められていたが、水戸市内の納豆メーカーの協力により、わら納豆を基にしたキャラクター造形に方針転換。人気絵本作家の田中六大さんが絵を描き、「水戸の納豆あってのキャラクター」(笹さん)に仕上がった。
内容は、なかなか食べてもらえずに自信を失っていた「なっとうくん」が冷蔵庫から逃げ出し、さまざまな経験をきっかけに自分の魅力を発見していく物語。作中には市内の納豆メーカー4社の納豆も登場する。
笹さんは「なっとうくん」に自分を重ねて創作したという。あまり好きではなかった空想癖のある自分の性格が、作歌などに役立った経験を振り返り、「子どもは誰もが隠れた長所を持っているので自信を持ってほしい」との思いを込めたと話す。
巻末には、和田さんの妻で、料理愛好家の平野レミさんが監修した納豆料理のレシピも掲載。茨城県納豆商工業協同組合水戸支部長の高野友晴・だるま食品社長は「今はスーパーなどでわら納豆を見る機会が少ない。物語を通じて、まず知って食べてほしい」と話す。
絵本は40ページオールカラーで税込み1650円。問い合わせは出版社トゥーヴァージンズ(03・5212・7442)へ。