元コンビニが現代アート発信の場に 新進作家に発見と挑戦を カフェや隠し部屋、公開制作も
1月、神戸・元町の鯉川筋から、さらに山側の通り沿いにオープン。鮮魚や和菓子などを扱う店が並ぶ一角で、暮らしの場にアートを溶け込ませる狙いだ。
創業した山田路也さん(42)は神戸中華同文学校出身の華僑2世だ。20代から中国・北京で飲食店を営んだが、コロナ禍の経営不振で2020年、日本に戻った。失意の日々を経て「アートでふるさと神戸を元気にしたい。観客と作家が心を通わせ、成長できる場所にしたい」と再起。米国や中国などでの作品販売を後押しし、新進作家を世界に羽ばたかせる希望も抱く。
クリエーティブディレクター渡辺潤さん(38)らの2人組「WATCHING from MARS(ウオッチング・フロム・マーズ)」が店のコンセプト作りやデザイン、企画などを担う。
美術館やギャラリーの既成概念を覆す内装で「作家にとっても、発見と挑戦の場になってほしい」と渡辺さん。天井に平行四辺形の格子を配した。作品をつって展示でき、壁との角度が動きや奥行きを演出。壁面には木くずとセメントを圧縮した建材をむきだしで使う。本棚の奥には隠し部屋まである。「帰り道に景色が違ってみえるような体験を届けたい」と願う。
地元在住のアーティストTei(テイ)さん(53)=本名・程亮介さん=は3月に店内で描き、窓ガラス越しに歩く買い物客らに注目された。コロナ禍などで不安な世相を意識して、オリジナルキャラクター「D.O.A.T.(ドート)」の笑顔の作品を並べて「にこにこしてる絵でほっとしてもらえたら」と語る。個展は25日まで。
一般営業は午前11時~午後7時。4月26日休み。インスタグラムで5月以降の休みやイベント情報などを紹介する。(小林伸哉)