『慶応大「4月から対面授業9割に転換」 その理由を伊藤公平塾長に聞く』へのユーザーの意見まとめ
慶應義塾の創立者、福澤諭吉の教えは「一身独立して一国独立す」「独立自尊」であり、民主主義を主張しています。学内のプロセスに時間はかかりますが、着実かつ順調に進んでいます。
授業をどうするかについては、塾長になって以降、各学部の代表者が頻繁に集まって、徹底的に議論しました。その結果、教員が学生全員の顔を見ながら教え、場を共有することが大切だ、このままだと教育の質が落ちかねないという結論になりました。一方で、最先端のツールを使って新しい授業をすることも必要で、両方をミックスすることにしました。最終的に、この4月からの対面授業は9割とし、昨年12月24日に大学ホームページで公表しました。
――慶應義塾大学はこれまで対面授業の比率が5割くらいで、オンライン授業積極派という印象があったので、意外です。大教室の授業も対面で行うのですか。
9割ですから、そうなります。換気設備を改善するなど、環境整備を行ったうえで、大教室も対面で授業を行います。一度、9割を対面でやってみて、さあどうするか考えようということです。教員の多くが対面授業を望んでいることが、議論の積み上げの中で上がってきました。対面授業と言うと、後戻りするように思われるかもしれませんが、オンラインのツールは積極的に使います。一部の学生は学外から授業に入ってくるかもしれないし、科目によっては外のコンテンツとつなげることがあり得ます。対面もオンラインも区別がつかなくなるはずです。
秋学期は昨年10月からでした。コロナの第5波の収束が見えてきたのが9月末で、対面授業にできるものは対面にしましたが、すでにシラバス(講義要項)でオンライン授業と書いてあるものがあり、対面はあまり増えていません。
対面授業を9割にすることで、学生が大学に来たいと思わせるシステムをつくることが大事です。そして生涯の友にキャンパスで出会うのです。
――コロナ後の大学教育をどう考えますか。
コロナによって、我々が真剣に取り組まなければいけないことが顕在化しました。教員が一番向き合うべきなのは学生です。なぜ大学に来るのか、そのインセンティブを学生のために、学生と一緒につくっていかなければいけません。
これまでは例えば留学プログラムにしても、大学が用意したものを提供するだけにとどまっていました。学生がこういう学びをしたいということを、もっとつくっていかなければなりません。キャンパスの再定義が必要です。
慶應義塾の精神は「半学半教」(互いに教え、学び合う)なので、学生が能動的につくっていく環境をつくる必要があります。次ページは:医療系があってよかったと実感前へ123次へ1/3ページ