今さら聞けない「本場結城紬」奥深い種類の見分け方は?素材やコーデをプロが解説
経・緯糸(たて・よこいと)ともに真綿糸を使い、丹念に織り上げられる「結城紬」。ひと口に結城紬といっても、作り方や工程の違いによって種類がありますが、お仕立て前の反物状態であれば、それを比較的容易に見分ける方法があります。まずは反物の始まりの部分(反端)――結城紬の反物は丸巻きではなく、平らに畳まれた状態のものが多いです――をご覧ください。
撮影=桂太(フレイム)
写真のように、本場結城紬の反端にはたくさんの証紙が貼られています。中央の横長の長方形(3枚セットになったもの)の証紙とその左側の証紙1枚は、「本場結城紬卸商協同組合」が発行する証紙で、産地や品質など本場結城紬であることを表しています。
横長の長方形の証紙(3枚セット)の左には、原料が真綿から手でつむいだ糸であることを示す品質表示シールが貼ってあります。中央のラベルの真ん中には、糸とりをしている女性の絵がありますが、それは左の品質(原料)表示ラベルの絵と同様のものです。「本場結城紬」は経糸・緯糸ともに、真綿から手つむぎされた糸を使用していることが挙げられますが、それをこの2点のイラストで確認することができます。
その両外側の証紙は「本場結城紬検査協同組合」が検査をし、左側の金色の証紙で指定する項目に合格していることを示し、右端にはその結城紬の織り方などを示す証紙が、割り印を押して貼ってあります。
<写真>手つむぎをした真綿糸を経緯糸に使い、地機で織った「本場結城紬」の証紙。両端(左の金色、右の薄緑色)は「本場結城紬検査協同組合」の証紙、また中央には「本場結城紬卸商協同組合」から発行される3つの証紙と、その左には品質表示を示す証紙(真綿手紬糸100%)が貼られています。 着物(髙島屋)
平織は、真綿からつむぎ出された撚り(より)のない糸を使用したもので、「本場結城紬検査之証」と書いてあります。現在生産され、流通している本場結城紬の大半はこの平織のものです。
<写真>縞の結城縮の生地(拡大画像)。平織にくらべて細かなシボがあります。着物(髙島屋)