ポーラ美術館で13年ぶりの日本画展。「シン・ジャパニーズ・ペインティング」に横山大観から杉本博司まで集結
が、同館で13年ぶりとなる日本画の企画展「シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画―横山大観、杉山寧から現代の作家まで」を開催する。会期は7月15日~12月3日。
そもそも「日本画」という概念は、明治政府のお雇い外国人として来日していたアーネスト・フェノロサ(1853~1908)が、日本国内で目にした絵画を総じて“Japanese
Painting”と呼び、この英語を日本人通訳が「日本画」と翻訳したことから、明治以後に社会的に定着していったと言われている。
2010年にポーラ美術館が近現代の日本画コレクションを紹介する展覧会を開催して以来の日本画展となる本展は、近代の「日本画」を牽引した明治、大正、昭和前期の画家たちや、杉山寧をはじめとする戦後の日本画家たちの表現方法、そして現在の「日本画」とこれからの日本の絵画を追究する多様な作家たちの実践の数々にあらためて注目し、その真髄に迫ろうとするものだ。
展示は「プロローグ 日本画の誕生」「第1章 明治・大正期の日本画」「第2章 日本画の革新」「第3章 戦後日本画のマティエール」「第4章 日本の絵画の未来―日本画を超えて」で構成。
各章の主な出品作家はプロローグが橋本雅邦、川端玉章、狩野芳崖、高橋由一、浅井忠、小山正太郎、第1章が横山大観
、菱田春草、下村観山、浅井忠、川村清雄、田村宗立、第2章が横山大観、菱田春草、菊池契月、小杉放菴(未醒)、冨田渓仙、岡田三郎助、岸田劉生、
藤田嗣治(レオナール・フジタ)、第3章が松岡映丘、山本丘人、髙山辰雄、東山魁夷、杉山寧、加山又造、今井俊満、堂本尚郎、第4章が山本太郎、谷保玲奈、久松知子
、春原直人、三瀬夏之介、荒井経、マコトフジムラ、野口哲哉、深堀隆介、山本基、天野喜孝、李禹煥、蔡國強、杉本博司となる。
本展では線を用いない表現手法である「朦朧体(もうろうたい)」の発明や、伝統的な顔料でなく西洋顔料や合成顔料の使用による鮮やかな色彩の獲得、額装や軸装、屏風といった様々な形式の変化に注目し、明治期から現代までの日本画の革新の歴史を紐解く。
また明治期の高橋由一や浅井忠、大正・昭和期の岸田劉生、岡田三郎助、レオナール・フジタ(藤田嗣治)ら洋画家たちの作品もあわせて展示することで、近代の日本画の特質を浮き彫りにするという。
さらに、4章では様々な表現様式によって日本画の革新に挑み続ける現代の作家たちの作品を、多数の新作を含めて展覧。欧米中心だったアートがグローバル化し、メディアや表現の多様化が進む現代のアートシーンのなかで、今日の作家たちはどのように「日本画」と向き合い、作品を生み出しているのかに注目したい。なお本展の会場構成は中川エリカ建築設計事務所が手がける。