探検家・西堀榮三郎と人類学者・今西錦司、登山の友情を漫画に
西堀家は同施設のある横溝地区にルーツを持ち、京都・四条烏丸に商店を構えていた。榮三郎は同家の末っ子として生まれ、旧制京都府立一中に入学、そこで今西と出会う。巻頭の漫画では2人が仲間と登山グループ「青葉会」を組織。旧山城国にある高い山から「山城三十山」を設定し、ヤブをかき分け登る青春期を描いている。1919(大正8)年4月、伊吹山頂で同会が万歳する写真も載せている。
旧制三高、京都大へと進んだ2人は近代的なアルピニズムを追求。スキー技術も研究し、このころ西堀が「雪山賛歌」を作詞したとされる。西堀は52年、マナスル登頂計画のためネパール王室と交渉。57年には第1次南極越冬隊長にも就いた。これらの計画では今西がリーダーを務め、差配したと解説している。
今西の次女、河村皆子さんのインタビューも掲載。本当に頑固▽不器用で万年筆にインクも入れられず、鉛筆を使っていた▽自転車も乗れなかった――などと父親の素顔を明かす。西堀については「父と正反対の人でした。優しくて、いつもニコニコしていて」と回顧。一方、初期はいつも2人で登っていたようだといい、「山で培った友情なんでしょうね」「惹(ひ)き合うものがあったんだろうと思います」と分析している。
B5判208ページ。2400円。問い合わせは0749・45・0011。【伊藤信司】