フードコーディネーター、根本きこが営む今帰仁村のカフェ〈波羅蜜〉へ【沖縄シティガイド】
2011年まで神奈川・葉山でカフェを経営していた根本さん、西郡(にしごおり)さん夫妻が、沖縄本島北部・今帰仁村で新たに営むカフェ〈波羅蜜〉。「ぱらみつ」と読む。見た目はドリアンに似た、ジャックフルーツという果物の沖縄名で、仏教用語でもある。ロゴなどにある〈PĀRAMITĀ〉は、サンスクリット語へのリスペクトを込めた表記だ。
元木工所をセルフリノベーションした建物は、天井が高く、コンクリートと木を基調にヴィンテージの家具やファブリックが配されている。柔らかな光が入る中、壁面上部のルーバーから、緩やかに空気が流れてくる。
食事とスイーツのメニューは日替わりの「きょうのひと皿」のほか、サンドイッチ4種、パンケーキ、スイーツが約6種類。農業の盛んな今帰仁や北部の野菜、フルーツがふんだんに使われ、そのみずみずしさに驚かされる。
「ひと皿は旬の野菜をメインに、4、5種類の野菜料理とスープで構成しています。野菜は決まった農家さんにお願いしているのと、道の駅やファーマーズマーケットに行って探したり。素材によって韓国料理やインド風の味付けになることもあります」(根本)
自家焙煎のコーヒー、名護の〈金川製茶〉の紅茶、スムージー、ビールや自然派ワインなど、ドリンク類も豊富だ。どんどん増えていくという庭の畑で採れたハーブをたっぷり使うハーブソーダをはじめ、自家製ジンジャーエールや柑橘シロップをソーダで割ったシトロンソーダなど、自家製ドリンクもここらしい味わい。
2011年の東日本大震災を機に沖縄本島に移って北部の山の中で暮らした後、少しだけ南下し、本部半島の端にある小さな村にこの店を開いた。
「何もない山での暮らしから、手に入る素材でできることを楽しめるようになりました。季節を大切に、食材も沖縄産やオーガニックなどに加えて、その時々で考えています」(西郡)
作家ものから業務用まで様々な器を使い、コーヒーの焙煎には遠赤外線効果の高い土鍋、音響にはひょうたんをくり抜いたスピーカーと、工夫は随所に見られる。人が集まる場所には、自然と寄り添う暮らしの心地よさがあった。
2018年オープン。●沖縄県国頭郡今帰仁村仲宗根278-3 TEL 090 8511 0607。11時30分~15時20分LO。火曜・水曜・木曜休。席のみ予約可能。Instagram:@paramitajunji