古墳時代の建物跡から角材や板塀出土、大津市の発掘調査で…専門家「政治・祭祀のための特別な建物か」
同市下阪本の宅地造成に伴い、6~8月の予定で410平方メートルを発掘。地表からの深さ約1メートルで出土した。
柱穴は16か所で見つかり、うち柱根の角材が13本出てきた。最大で長さ80センチ、縦20センチ、横10センチほどで、 釿(ちょうな)(手おの)のような道具で削った跡があった。途中で折れたとみられるもの、水平に切られたような状態の柱もあった。
現場から古墳時代中後期の土器の破片が見つかっており、この時期の建築とみられる。建物の規模について市は「調査区域に限りがあり全容は不明」としつつも、南北8・5メートル、東西8・3メートルはあったと推定する。
一方、建物跡に近接して板塀の最下部が残り、厚さ2センチ、高さ20センチ程度のものが、L字形に延長約12メートルと約5・5メートルにわたり、それぞれ途切れながら続いている。間が大きく空いた所は建物の出入り口だったとも考えられるという。
調査を担当した同課の山崎公輔技師(26)は「建物には、 庇(ひさし)か縁側が付属していた可能性がある。古墳時代の木材の加工・建築技術を知る上で重要な資料。今後、建物の上部構造についても調べたい」と話している。
柱材や板塀の状態について、大阪公立大の岸本直文教授(考古学)は「地下水位の高い地域で、保存状態は極めて良い」と評価。「古墳時代で柱に角材が使われたのは、(豪族の建物跡とされる)奈良県御所市の極楽寺ヒビキ遺跡など10例程度。柱根だけでなく、板塀まで残っているのは例がないのでは」と指摘する。
市は22日午前10時半~午後0時半、一般向けの現地説明会を行う。会場に駐車場はない。問い合わせは同課(077・528・2638)。