フェンディとアーティストと職人が出会うとき。表参道で「ハンド・イン・ハンド」展が開幕
1997年、アクセサリーおよびメンズウェア部門のアーティスティックディレクターであり、創業家3代目のシルヴィア・フェンディによって、フェンディのアイコンバッグとして生み出された「バゲット」バッグ。「ハンド・イン・ハンド」はこれにフォーカスしたもので、2020年より継続的に行われている、フェンディと世界各地の職人たちとの草の根パートナーシップ・プロジェクトだ。
「ハンド・イン・ハンド」という名称には、伝統工芸を継承する各地の職人とフェンディの職人の「手(ハンド)」が出会い、代々受け継がれてきた貴重な手仕事による職人技を結集し、唯一無二の作品を誕生させるという意味が込められているという。
このプロジェクトの主役は、フェンディと世界各地のアトリエや工房だ。呼びかけに応じたアトリエや工房が、その土地に古くから受け継がれる様々な伝統工芸技術を駆使して「バゲット」を再解釈し、作品を生み出してきた。またこうしたプロジェクトを行うことで、職人たちの希少な技術とクリエイティビティ、そしてサヴォアフェールを保存・伝承していくことも大きな目的となっている。
東京展では、イタリア各地の職人とのパートナーシップによって生み出された「バゲット」バッグ19点とともに、西形彩による作品もハイライトとして展示されている。
西形は栃木県足利市で創業80年を誇る「にしかた染織工房」の4代目で、歴代最年少の栃木県伝統工芸士。西形はこのプロジェクトのためにウール糸を複雑かつ鮮明な色彩に手染めし、手織りによって「バゲット」バッグをつくり上げた。仕上げには日本の美術織物の最高峰として知られる「綴れ織り」が用いられ、色の強さとデザインの複雑さがバッグと見事な調和を見せている。
また本展ではアーティストとのコラボレーションにも注目したい。
2008年、シルヴィア・フェンディによって生み出されたバッグ「ピーカブー」が並ぶエリアでは、世界中から選ばれたデザイナーやアーティスト、著名人たちが手がけた特別な「ピーカブー」が展示される。
このセレクションには、小川貴一郎、マイケル・ラウ、香港の女優で起業家のカリーナ・ラウ、デザイナーのサビネ・マルセリス、ヤン・テ・オ、クーン・カプート、ピーター・マベオスタジオによって新たに解釈された「ピーカブー」が並ぶとともに、本展のために制作された
山口歴、高木耕一郎、万美による新作「ピーカブー」も初披露されている。
フェンディと世界各地の職人たちの伝統技術とのパートナーシップ、そしてデザイン・アート界へのオマージュを体験できる、またとない機会をお見逃しなく。