ティッシュペーパーはなぜ「便利」なのかを考えると「人類のものづくりの歴史」が見えてくる
今回のテーマは「ティッシュペーパー」。私たちが生活の中でもっとも多く触れる「紙」かもしれません。少しずつ読み解いていくことで、ものづくりに関するたくさんの工夫、そして私たちの仕事やものづくりそのものの意義を感じさせてくれるものなんです。
ティッシュペーパーって「世紀の大発明」だと思うんです。
花粉症や風邪をひいたときに手放せないのはもちろん、日常の些細な場面でもたくさん使いますよね。ティッシュが無い世界、ってなかなか想像できなくないですか?
ティッシュペーパーって実は歴史のなかで徐々に進化していったものなんです。もともとは第一次世界大戦中に、アメリカで医療用の綿が足りなくなったことで、代用品として開発された「セルコットン」という素材がベースになっているそうです。これを応用して1924年に作られたのがティッシュペーパーです。ちなみに開発したのは、みなさんおなじみ「クリネックス」で知られるキンバリークラーク社です。
ティッシュペーパーって2枚重ねじゃないですか。当たり前すぎて疑問にも思わないですが、あれって結構理にかなってるんですよね。
コピー用紙でもティッシュペーパーでも、紙には必ず裏表があることをご存知でしょうか。片面はキメが細かくサラサラ・つるつるですが、もう片面は必ずザラザラしています。ティッシュペーパーは、ザラザラな面同士をあわせて2枚組にすることで、分解しない限りは常にサラサラな面が表に来るようになっているんです。
もう一つの理由は水を吸いやすくすること。1枚の紙だと全く吸わないわけですが、2枚重ねしていることで紙と紙の隙間で水を吸い取るそうです。
注目すべきは紙だけではありません。ボックスタイプのティッシュを語る上で欠かせないのが、1枚を取った瞬間に次の1枚が用意されている「ポップアップ方式」。これ、おもちゃといってもいいレベルの機構だと思うんです。それぐらい感覚として楽しいし便利。
このポップアップ方式は、ボックスティッシュを作る過程で生み出されたわけではなく、1921年にアメリカの発明家であるアンドリュー・オルセンさんが独自に開発したとのこと。それに目に留めたキンバリークラーク社が特許を買い取って現在のように広く商品に使われるようになっていったそうです。