ラテン系アーティストたちが日本のサブカルチャーにオマージュ。「TELETRANSPORTATION 2 TOKYO」に見る6人の表現
TOKYO」展の会場となるのは、2022年12月に日本橋兜町にオープンした複合施設「Keshiki(景色)」の地下1階に位置する「AA(アー)」。約150平米のギャラリー/多目的スペースだ。2013年から16年にかけて東京・半蔵門のアートスペース「ANAGRA」を主宰した細野晃太郎がディレクションに携わるこの空間で、「ANAGRA」での展示経験もあるJ.DEMSKYが「日本のヴァイブスを感じながら、アーティスト仲間6人の表現が響き合う展示にしたかった」と、コラボレーションのパートナーとしても付き合いが長いメキシコ人アーティストのSMITHEと共同で企画した。
6名の参加アーティストたちは、永井豪原作のマンガ『マジンガーZ』や『デビルマン』、グラフィックデザインから木彫やテラコッタなどのアートまでを横断する五十嵐威暢の表現、松本大洋や大友克洋らのマンガに登場する都市空間、『セーラームーン』『ドラゴンボール』など、日本の多様なカルチャーに影響を受けてきた。彼らが手がけた13点のエディションプリント作品、メキシコの玩具メーカーとのコラボレーションで展開した7点の立体作品、そして、来日後にJ.DEMSKYとSMITHEのふたりで仕上げた巨大なミューラルアート《PANORAMICA》で会場が彩られる。
1990年台にグラフィティアーティストとしてキャリアをスタートし、COMME des
GARÇONジュンヤワタナベとのコラボレーションなども行ってきたJ.DEMSKYは次のように話す。
「6名ともに日本のカルチャーが大好きで、それぞれが影響を受けながら独立した表現を行っている。平面作品がどのような立体になっているのかもそれぞれ異なるし、6名の表現がいい具合に響き合う展示空間になったんじゃないかと思う」。
いっぽう、J.DEMSKYとミューラルアートを手がけたSMITHEは、こう続ける。
「J.DEMSKYが壁面全体をデザインし、そのプランを元に自分の絵をインプロビゼーションで描いていった。彼のグラフィカルで未来的な表現と、自分のオーガニックでイラスト的な絵のキャラクターは最高に相性がいいと思っているよ」。
日本橋兜町の証券取引所からすぐに位置する「AA」。金融街の地下空間に展開する「TELETRANSPORTATION 2
TOKYO」展で、日本のカルチャーがラテンの感覚でリミックスされたスリリングな表現を楽しみたい。