今さら聞けないメタバースを一話1分で解説「連載:知ったか脱却メタバース入門」
FASHIONSNAP(以下、F): そもそも、バーチャル空間とメタバースってどう違うんですか?
mekezzo: 諸説あるんですよね……。
永井幸輔(以下、永井): 「メタバースはバーチャル空間だけを指す」という説や「そもそも自分たちが存在している世の中(空間)もメタバースである」という説など、本当に多種多様です。
なのでどこを切り取ろうか、というのは結構悩ましい。
F: 「自分たちが存在している空間もメタバースである」というのは、知識のない人たちからすると不思議な説です。
mekezzo: それでいうと、ベンチャーキャピタリストのマシュー・ボール氏が示している7つの要件をみるとわかりやすいかもしれません。
1,永続的であること:一時停止やリセットなどは存在せず無限に続くこと。
2,同期的である:実社会と同じく、同期的な状態。
3,無限の同時接続ユーザー:ユーザーそれぞれが存在感をもつ。
4,完全に機能した経済:個人や企業が価値を生み出し報酬を得られる。
5,実社会との垣根なし:リアル/バーチャル、オープン/クローズ、プライベート/パブリックにまたがる体験となる。
6,相互運用性:プラットフォームの垣根を越えた体験。
7,幅広い人々の貢献:個人や企業などが大量のコンテンツや体験を提供する。
mekezzo: 小難しいことを言っているようにも見えるんですが「(1)永続的であること」というのは簡単に言い換えると、ゲームみたいにポーズ機能が付いていないよ、ということ。
「(3)無限の同時接続ユーザー」というのも地球の人口に上限がないようにメタバース空間上にもアクティブユーザー数に上限はないよ、ということです。
F: たしかに、なんだか現実世界と近しいし「現実世界と同体験を提供するのがメタバース」言えてしまいそうですね。
永井: 「現実世界の体験をちゃんと再現しようね」という言い方もできるかも知れないですね。
F: メタバースの定義はわかった気がします。メタバースといえば「NFT」とセットで聞くことが多いんですが、どう関連性があるんですか?
永井: NFTは規格(フォーマット)の話で、メタバースは概念みたいなもの、と言えばわかりやすいですかね?
mekezzo: メタバースは「インターネット」という概念みたいなものですね。
F: なるほど。
NFTは「非代替性トークン」と訳されていましたが、メタバースを日本語に翻訳することはできますか?
mekezzo: 訳せないですね。
永井: 「多元宇宙」と言う人もいますが、直訳はなかなか難しいです。
mekezzo: 直訳不可能だからこそ「メタバース」という言葉が、様々な意味合いで使われているし、矛盾を生んでいるのかもしれないですね。
F: 具体的にNFTとメタバースとVRはどのような違いがあるんですか?
永井: そこはみんながつまずくところですよね。
mekezzo: 図で説明したほうがわかりやすいかな。
mekezzo: そもそも世の中には現実世界に存在する「いつもどおりの世界」とデジタル上に存在する「バーチャル世界」というものが存在しています。
メタバースというのはデジタルやバーチャル世界はもちろん、リアルな世界も内包している。
永井: この図をみると、メタバースの視点から見てNFTが関わる部分が実はそんなに多くを占めていないことがわかりますよね。
F: メタバースの中にもNFTが必要のないバーチャル空間もあるし、NFTがあるからこそ成り立つバーチャルもある、と。
永井: その通りです。
F: NFTを必要としていない「メタバース空間」というのは具体的にどんなモノがあるんでしょうか?
永井: 現状では「どうぶつの森」とか「フォートナイト」とかです。
mekezzo: 僕の中では「秩序メタバース」と「自由メタバース」という分け方をしていたりもしていて。
秩序メタバースは守られている世界。自由メタバースは自己責任の世界と言い換えることもできます。
F: NFTが介入するメタバースは経済が絡んでくるので「自由メタバース」?
mekezzo: そうですね。メタバースというのは「デジタルツイン」という考え方があるんですよ。
F: デジタルツイン……。また難しいカタカナ語が出てきました。