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おれらの時代
2023-05-29
おれらの時代

 初めて手にしたのは文庫版の『死者の奢り・飼育』で昭和五十三年頃だったように思う。最初は普通の文章と違って、ひとつのことを言うためにまったく違ったことを言い、それを言うためにまた別のことを言うようなところがあって極度の集中を読者に求める、みたいな文章にまったく歯が立たず、でも辛抱して何度も読むうちに、わかるところが段々と増えていって、昭和五十八年頃には大分、読むようになっていた。恥を言うようだが、その頃おれは学業を放棄してパンクロッカーになっていた。なぜなったかというと、そっちの方が楽でおもしろそうだったからで、私は、「不満足」という小説の題とローリング・ストーンズの曲の題は似てるのお、など言いながら京都の川端通を歩くなどしていた。

 歩いて向かうのは大抵が北白川のライブハウスだったが時折はその手前の「京大西部講堂」にも行った。「京大西部講堂」ではときおりロックの自主コンサートが開かれていたからである。

 そのなかには海外の有名なグループの公演もあって、そういうときは普段と違って多くの観客が集まった。ある日。行くと多くの人が前の広場(ほこりっぽい土が剝き出しで、駐車場兼廃車置き場のようになっていた)に集まっていたから有名な人の公演があったのだろう。その人の名前は忘れてしまったのだけれども、公演が始まるのを待つ間、ひとりの少女と大江健三郎について会話を交わしたことはいまでも覚えている。
 なぜかというとその少女が奇抜な恰好をした者が多いコンサート会場にいてなお、人目を引いて目立っていたからで、おれは大抵の多くの人の集まる公演には来ていた彼女とは既に顔見知りだったけれど長く話したことはなかった。地味なパンクロッカーのおれは美少女で、年上の知り合いも多い彼女には気後れして容易に話すことができなかったのだ(彼女はおれよりみっつ上の十九歳だった)。

 だからそのときも最初は、「あぎゃあ」くらいしか言わなかった。ところがなにかトラブルがあったらしく予定の時間を大幅に過ぎてもコンサートは始まらず、またたまたま知り合いもいなかったのだろう彼女と割と長く話すことにそのときはなった。最初、彼女は共通の知人をめぐって夢野久作の話を始めて、実はそのとき俺は夢野久作を読んでおらず、知っている振りをしていい加減なことを言っていたら、そのうち彼女は、「空の怪物アグイー」の話を始めた。

 彼女はその先鋭的なファッションとは裏腹の間延びした口調で話し、そのことを俺は意外に思っていたが、これについてはさらに、アグイー、と伸ばした上、ことさら強めて発音し、それが実は自分もしたい感じの発音だったので深く共感して、グングンに話した。そして最後に彼女は、「大江健三郎のルックス見たことあるかー」とまた間延びした関西弁で言った。

 彼女がなぜ、そんなことを言うのかわからず困惑して、答えられないでいるうちにコンサートが始まり、その後、彼女と長く話すことはなく、その問いもそのままになった。

ソース元URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/6c5039555daffa67a015aee7b5a01e8b7b0fc4ad

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