2022年夏、注目の芸術祭5選。
直島を始めとする12の島と高松港など2つの港を船で巡りながら見る芸術祭。これまで同様に春・夏・秋の3会期に分けられる。北川フラムが総合ディレクターを務めるこの芸術祭は「海の復権」をテーマに開催されてきた。それは島のおじいさんやおばあさんの笑顔を取り戻すことでもある。
夏会期には小豆島でワン・ウェンチーやシャン・ヤンらの新作が、また豊島で冨安由真の新作が公開される。高松では〈高松市美術館〉で『みる誕生 鴻池朋子展』が開催。また、高松港を見渡せる屋島には周防貴之が設計した〈高松市屋島山上交流拠点施設(愛称:やしまーる)〉がオープンする。夏会期から公開される渡辺篤(アイムヒア プロジェクト)のアートとともに見逃さないようにしたい。
直島では〈杉本博司 時の回廊〉や安藤忠雄の〈ヴァレーギャラリー〉など、春会期から登場したスポットに注目だ。宮浦ギャラリー六区では、瀬戸内「中村由信と直島どんぐりクラブ」資料館が夏会期から公開される。女木島では2019年の「小さなお店プロジェクト」を進化させ、アーティストたちがお店を開く「女木島名店街」やニコラ・ダロが機械仕掛けのプラネタリウムを展示。男木島では、見晴らしの良い高台に建築家・坂 茂が紙管を使った日本家屋を建て、その中に大岩オスカールが瀬戸内の絵を描く作品などが展開される。ゆっくりと時間をとって島々を巡りたい。
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2000年に北川フラムを総合ディレクターに迎えて、今年で第8回目となる芸術祭。今、日本各地で開催されている芸術祭のお手本的存在だ。本来は2021年開催予定だったが、コロナ禍のため延期された。そのため、一部の新作は2021年夏から公開されている。今回の芸術祭は春から始まっているがゆるやかに春・夏・秋の3つに分けられ、夏から公開されている作品も多い。
中心となるのは〈まつだい「農舞台」〉などのイリヤ&エミリア・カバコフの新作群。〈まつだい「農舞台」〉と周辺を整備した「まつだい『農舞台』フィールドミュージアム」には、2021年12月に新作《手をたずさえる塔》が完成した。MADアーキテクツが手がけた〈清津峡渓谷トンネル〉の作品もリニューアルしている。
夏には〈越後妻有里山現代美術館 MonET〉の回廊に囲まれた池に中谷芙二子が《霧神楽》を出現させる。底面に描かれたレアンドロ・エルリッヒの《Palimpsest: 空の池》と響き合って幻想的な光景になるはずだ。閉村した旧小貫集落には磯辺行久がその記憶をとどめるアートを作る。いくつかの拠点ではDIYで会場を整備するなどのプロジェクトを展開、地元の人もものづくりに携われるような試みも。アーティスト、地域の人々、観客がさまざまな形で場に関わる芸術祭になる。