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ウクライナ戦争とべラルーシの非人道性を示唆する演劇とは。ベルリン演劇祭から考える
2023-07-06
ウクライナ戦争とべラルーシの非人道性を示唆する演劇とは。ベルリン演劇祭から考える

長く続いたパンデミックを経て、ヨーロッパのアートシーンはどう変化しているだろうか? 分断、難民問題、戦争、経済格差、環境問題、公正性、急速に発達する情報技術の是非。複雑で多様な問題に同時多発的にさらされる2023年から2024年の欧州を演劇研究者・内野儀がレポートする。今回は3回目(全12回予定)。


5月のベルリンの舞台芸術界は、ベルリン演劇祭(Theater Treffen)で賑わう。ドイツ語圏演劇を代表する10作品がベルリンに集結する大がかりな催しで、今年は5月12日から29日の日程で開催された。連載の第1回で話題にした<公共劇場の制度vs.フリーシーン>の図式で言えば、公共劇場の制度側のシーズン総決算的一大イヴェントである。

ベルリン演劇祭を主催するベルリーナ・フェストシュピーレ(ベルリン祝祭)には、新しい芸術監督としてマティアス・ペース(Matthias Pees)が2022年9月に就任し、演劇祭のキュレーションは4名のチーム体制になった。

2022/23シーズンに上演された400以上の作品から7名の審査員が選んだ10作品の各2回の公演が、演劇祭の中心である。ただし新体制のもと、今回は「10の出会い」(10 Treffen)というプラットフォームも新たに設定された。

「10の出会い」では「多様性」「連帯」「責任」「トランスフェミニスト」「Herstory」「グリーン」「ネットワーク」「交流」「応答」の9つのテーマが掲げられ、上演や参加型パフォーマンス、展示、各種討議や若手ライターのブログによる演劇祭への応答まで、多様な展開をみせた。

なかでも重点が置かれたのは、ジェンダー公正とロシアによるウクライナ侵攻の問題である。そして各プログラム内でも、この二項が理論的、現実的に交錯している。たとえば、研究者中心の「ウクライナ文化におけるポスト植民地主義」「文化収奪の遺産」といった討議、女性兵士がその4分の1をしめるウクライナ軍の元兵士らが参加した「戦争における女性」というセッションなどである。あるいは、ウクライナやベラルーシからの避難民と互いの経験をシェアして小さな連帯感を醸成する「編み物(Knitting)ワークショップ」を組織してきたポーランドのアナログ・グループ・コレクティヴ(Kolektyw Grupa Analog)のワークショップ、ファム・アーティストのコレクティヴと自己定義するマザーズ・アートラバーズ(Mothers Artlovers)による『ディナー・パーティ』なる、ゲストに夕食を振る舞いつつ、新しい家族のイメージを共有する参加型パフォーマンスもあった。

ウクライナからの「10の出会い」への参加ということでは、フーリガン・アート・コミュニティがキーウのシェルター避難中に発想したという『塹壕キャバレー』や、リヴィウのTeatr Vartaによる『ЛЮТИЙ(Liutyy) | FebrUaRY』の上演があった。後者の題名はウクライナ語でロシアが侵攻した「2月」と「激怒という感情」を表す語である。戦争に参加している兵士やボランティアの人たちのインタビューや出演しているアーティスト自身のコメンタリーをちりばめた音楽劇である。

ソース元URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/23443267dcc701e19c30cfa5690c49ef09d0c6bf

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