本読まぬ児童・生徒が増加 東京都教委調査
■年齢上がるほど
調査結果によると、令和4年度の都内小中高校生の不読率は全体で18・5%。およそ5人に1人が1カ月間に1冊も本を読んでいないとの結果だった。不読率は小学生が一桁台と低く、中学、高校と年齢が上がるほど高かった。
中高生は部活動や定期試験の勉強などで読書の時間を確保しにくくなるとの見方もあるが、元年度の調査から不読率が上がった点は、小中高校で共通していた。元年度に2・9%だった小学2年生は4・4%に、4・2%だった5年生は5・1%に上昇。中学2年生も9・9%から10・3%に、高校2年生も30・6%から33・4%に上がっていた。
都は児童・生徒の読書状況について、2~3年ごとに調査を実施。直近は昨年9月上旬から中旬にかけ、都内公立の小中高校の児童・生徒ら計約9万5千人を対象に書面で行った。スマートフォンやタブレット端末などの普及を踏まえ、電子書籍を「本」として扱う一方、教科書や学習参考書、漫画、図鑑などは含めていない。
■低学年で「出会い」を
不読率に反比例する形で、1カ月に1冊以上の本を読んでいる人は学年が上がるほど割合は低下する。小学校低学年は8割以上、高学年でも7割以上に上るが、中学2年生は52・2%、高校2年生は37・5%にまで下がる。
本を読まない理由は、小学校低学年では「読みたい本がなかったから」が最も多く、5、6年生は「本を読むことに興味がないから」が最多。都教委の担当者は「低学年のうちに興味のある本と出合える機会を多くする必要がある」と指摘する。
調査結果から、家族や先生など身近な人に本を読んでもらった経験がある人は、読書に親しむ傾向もみてとれた。
1カ月間に1冊以上の本を読む人のうち、60・9%が「身近な人に本を読んでもらったことがある」と回答。一方、全く本を読まない人では、身近な人に本を読んでもらった経験があるのは35・2%にとどまった。
■学校活動で習慣つけて
読書は読解力を伸ばすだけではなく、考える習慣を身につけ、課題の解決に必要な資質や能力を育むことにもつながるとされる。
都教委は、不読率を令和7年度に小学2年生で1・3%、中学2年生で6・6%、高校2年生で15・9%まで下げることなどを目標に掲げ、学校教育での読書活動を推進する。区市町村教委や各学校に取り組みを促すほか、都立の図書館に対しては各校に推薦図書についての情報発信なども求めている。
都教委の担当者は「学校の活動を通して本に親しみ、読書の習慣を身につけられるようにしたい」と話している。