戦禍の芸術家に託された写真 群馬など各地で展覧会 大学院生が企画
福田さんは侵攻直後の2月下旬、美術家の父篤夫さんが2019年にウクライナの首都キーウ(キエフ)で開かれた国際美術展に参加して親交を持つようになった現地のアーティスト、セルヒー・ポポフさんに安否を尋ねるメールを送った。返信があったのは3月中旬。悲惨な状況下でも国内にとどまり人道支援を行っている芸術家がいることを知り、支援の必要性を感じた。
福田さんはポポフさんに日本での展覧会の開催を提案。これに応じたポポフさんが同国のアーティスト4人に出品を呼びかけた。
侵攻による混乱で大がかりな作品の輸送は難しく、福田さんはA4判の紙に印刷されたものを送ってもらうことにしたが、「情勢は想像以上に深刻」だった。5月初めに発送されたのに3週間以上もウクライナや隣国のポーランドに留め置かれた状態の作品もあるという。そのため、電子データで送れる作品を日本で印刷するなどの工夫をして展覧会の準備を進めている。
「ウクライナに住むアーティストは日本で展覧会が開催されることに希望を見いだしている」。ポポフさんから福田さんのもとに届いたメールには、支援への感謝が記されていた。会場ではポポフさんがキーウで撮影した写真も展示する。福田さんは「展覧会を通じて、現地で何が起きているかを改めて感じ取ってほしい」と話す。
展覧会は4~25日の金土日に渋川市の「Ais Gallery」で開かれる。時間は午後1~6時。入場無料。1000円以上の寄付を別途受け付ける。7月に東京都、9月に佐賀市で巡回展を予定している。問い合わせはウクライナ芸術支援プログラム事務局(080・2085・0432)。【西本龍太朗】