TXで人口急増の茨城・つくば 県立高新設を求める声高まる
■市内は6人に1人
つくば市内の全日制県立高は現在、竹園、つくば工科、筑波の3校。昭和62年の市制施行時は6校あったが、統廃合が進み、人口が少ない日立市の6校や土浦市の5校よりも少ないという逆転現象が起きている。
市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表世話人)が入手した県教委の資料によると、令和3年3月のつくば市内の中学卒業生1958人のうち、市内の県立3高へ進学したのは310人(15・8%)と6人に1人。隣の土浦市の県立高へ進学した314人(16・0%)を下回った。
■人口減の歯止めに
令和2年の県全体の中学卒業生は2万6325人。これが10年後は2万2924人と13%減る見込みだ。
しかし、県教委が定めた県内12地域のうち、つくば地域(つくば、常総、つくばみらい、守谷各市)では令和2年の3968人が10年後には4839人と22%増加する。つくば地域の県全体に占める割合も15%から21%へと大幅に増える。
片岡さんは「つくば地域が県人口の減少に歯止めをかけている。学園都市の教育に魅力を感じて移り住む人も多い」と指摘。「この可能性を県立高不足が阻んではならない」と訴える。
つくば市は、子育て世帯の人口急増に対応し小中学校の建設を進めているものの、高校は後手に回ってきた。市は毎年、県に対し県立高の予算をつけるよう要望してきたが、今年4月からは、それまでばらばらだった県立高誘致などに関する窓口を総務課に一本化。市議会も昨年10月、県立高設置などを県と県教委に求める意見書を可決した。
■県は統廃合進める
だが、県人口の減少を受け、県はむしろ県立高の統廃合を進めている。県教委などは、それぞれの地域での県立高の適正配置を図ってきたが、今年3月の県議会では「隣接地域も含めて対応を検討する」と広域化にかじを切った。
五十嵐市長は14日、「市内の中3生の数に対し、県立高の枠が少ないのは客観的事実。今後も市内の子供は増えていく。いろいろな機会を通じて県に働きかけていきたい」と述べた。
片岡さんは「つくば市外の県立高や私立高も魅力があるところはあるが、学費や交通費、通学時間などで本人や保護者の負担も大きい」と話し、集会での議論を呼びかけている。
集会「市民の集い」は19日午前10時から、同市館野の市小野川交流センターで。資料代300円。問い合わせは029・852・4118。(篠崎理)