【童話画家・初山 滋】貴重な作品をちひろ美術館・東京で!モダンな女性画も描いた多才さ
初山滋●1897年、東京・浅草生まれ。8歳のころの一時期、日本画家・荒木探令(たんれい/後の狩野探令)のもとで絵を学び、9歳で着物の模様画工房で丁稚奉公に入るも、本格的な画家の道を目指して13歳で同工房を辞める。その後、風俗画家・井川洗厓(せんがい)に弟子入り。日本画の模写に励む一方、アール・ヌーボー、キュービズムなど当時日本で一挙に紹介された西洋の新しい美術も感受。1919年、21歳で童話雑誌『おとぎの世界』の表紙絵の担当に抜擢される。以後、絵雑誌『コドモノクニ』をはじめ、多くの雑誌・絵本の仕事を手掛けた。1973年、75歳で逝去。
たけさこゆうこ●広島県生まれ。1984年より、いわさきちひろ絵本美術館に勤務。館内外の展覧会企画、作品収集に携わる。著書に『ちひろの昭和』『岡本帰一』『初山滋 永遠のモダニスト』(すべて河出書房新社)など。
編集=柏木敦子(婦人画報編集部)
1922年、東京社(現・ハースト婦人画報社)より創刊された、子どものための本格的な絵雑誌『コドモノクニ』。初山滋の初登場は1927年8月号(六巻八号)。以来、岡本帰一や武井武雄らとともに主要画家のひとりとして、毎月のように作品を発表。画業前半期を語るにおいて欠かせない仕事となりました。
『コドモノクニ』と前後して、1927年7月号~1928年12月号の18号にわたって『婦人画報』の表紙絵を担当。盟友・武井武雄のあとを引き継ぎ、和装から洋装、少女から淑女までさまざまな女性像を描きました。また、目次の装丁やファッションページの挿絵を描くなど、高いデザイン性、モダンな感覚が遺憾なく発揮されています。