企画者3人に聞く。約150のプロダクトから知るオリジナルなデザインとは?
名作と評されるデザインには、どれもオリジナリティが宿る。その独創性に触発され、モダンデザインは豊かな枝葉を広げてきた。しかしオリジナルであることとは、一体なにか。〈21_21 DESIGN SIGHT〉で開催中の『The Original』は、ディレクターの土田貴宏、企画原案の深澤直人、企画協力の田代かおるの3人が選出したプロダクトから、その意味を探る展覧会だ。
そもそも”The Original”という言葉は、展覧会の打ち合わせを重ねるうちに深澤から発案されたものだと土田は振り返る。その言葉とともに深澤は、デザイナーとして「常にデザインのオリジナルがどこにあるかを気にしている」と話す。
「私のデザインが過去のデザインと偶然にも一致した経験もありますし、他のデザイナーの作品を見てその源流を考えることも少なくありません。そこでいつも考えるのは、無意識に影響を受けているのか、はたまた偶然なのか……ということ。さらにオリジナリティのあるデザインを見ると、やられたなという悔しさにも似た感情が湧き上がることもあります。今回、それらを集めたことで、一つの芯のようなものが見えてきました」(深澤)
これらのデザインに通底するものはなにか。深澤、土田、田代の3人は議論を重ね、数百のプロダクトから絞り込まれた約150点で展示を作り上げていった。土田はまた、深澤からの「シーンも見せたい」という言葉が印象的だったと振り返る。
ジノ・サルファッティによる照明《レ・スフェレ》、ピエロ・リッソーニによるソファ《エクストラソフト》がスタイリングされた空間から展示は始まる。前者は2018年に復刻されたものだが、深澤は「時に、過去の製品化よりも復刻によってデザイナーの意図が現れることもある」という。後者は2008年発表と比較的新しいプロダクトだが、幅広い置き方を実現するモジュールソファとして昨今のソファのあり方を大きく変えた存在だ。
続くギャラリー1では、より明確にアイテム群が呼応するシーンを描いた。真っ先に目に飛び込んでくるのは、イタリアデザインの黄金時代を感じさせるラインアップのスタイリング。アキッレ・カスティリオーニ、マリオ・ベリーニ、リナ・ボ・バルディ、パオロ・ピーヴァ。そしてフロアランプには、ファッションデザイナーのマリアノ・フォルチュニが1907年に舞台用間接照明として考案した《フォルチュニランプ》を置く。