小児がん経験した「まゆワッサン」さん、コアラやゾウを描き小児科病棟に寄贈
子どもの頃から絵を描くことが好きだった徳永さんは、北九州市立大在学中にユーチューバーとして活動。自身の絵を動画で紹介したところ好意的なコメントが相次ぎ、創作活動を始めた。活動名は「まゆワッサン」で、2020年にはオンラインショップも開設した。
ネコの顔の周りに色とりどりの花びらをあしらった「ねこおはな」、もこもことした毛が特徴の「モコモコ犬」――。動物を題材にしたユニークな画風と、アクリル絵の具を使った鮮やかな色遣いが人気を集め、東京や福岡、京都などで個展を開催。昨年5月の個展から、収益の一部を小児がん患者の支援活動に寄付するようになった。
自身も生後間もなく小児がんの一種「神経芽細胞腫」が判明。1歳の頃に手術を試みたものの切除が難しく、幼い頃は抗がん剤治療も受けた。その後、悪化はしていないものの、今も年1回の検査を続けている。
患者支援のきっかけの一つが、数年前に母親(57)から聞いた当時の思いだった。医療関係者から「お子さんは1人ですか? 残念でしたね」と言われて号泣したことを打ち明けられ、両親の苦悩を実感。「同じつらさを抱える子や家族の力になりたい」と考えた。
個展のたびに寄付を続けているほか、昨年9月には、小児科病棟に飾ってもらおうと当時の主治医だった神薗淳司医師(58)に、コアラやゾウ、ニワトリの親子を描いた作品を寄贈。神薗医師は「成長の証しを見られて小児科医冥利に尽きる。治療を受けている子どもたちにも元気を与えるだろう」と話す。