隈研吾設計、スノーピークの複合型リゾート〈Snow Peak FIELD SUITE SPA HEADQUARTERS〉が誕生!
また、屋外、屋内ともに天井を薪で覆うことで、内と外、自然と建造物が溶け合って見える。これは、隈が同じ敷地内にあるキャンプ場からの景観を考え、シームレスな空間を作ったからこそ、かなった風景。そして、特徴的な屋根のラインは施設の目の前にそびえる日本三百名山の一つ、粟ヶ岳の山並みに沿うようにデザインされている。単に建物として存在するだけでなく、自然と一体化する“野性味のある建築”が、今回、隈の目指したところだ。
地下に位置する温浴エリアは、開放的な露天風呂とスタイリッシュな内風呂、ロウリュもできるサウナを擁する。眺望を第一に考えて設計された内風呂は、天井から床まで全面ガラス張りで、ダイナミックな粟ヶ岳を存分に臨むことができる。春は鮮やかな緑、冬は銀世界と、季節ごとに変わりゆく風景を楽しめるのも、このスパの醍醐味だ。
面白いのは、洗い場の設計。湯船とシャワーを隔てる壁は、座ったときにちょうど粟ヶ岳が見える高さに作られている。洗い場に置かれた木製の湯桶と椅子は、〈タイムアンドスタイル〉のもの。実はこの椅子、本来はサイドテーブルとして作られた製品だが、偶然にもデザイン、サイズがぴったり合うと採用が決まったのだという。