世界で人気「マリメッコ」デザイナー ふるさと愛媛で“ゼロからのスタート”を楽しむ
世界で人気を集めるフィンランドのアパレルブランド「マリメッコ」。
このマリメッコで30年以上にわたりデザイナーとして活躍していた、愛媛・砥部町出身の石本藤雄さん(81)。
世に送り出したデザイン数は、マリメッコでも歴代2位の400以上。
また、陶芸家としても多くの作品を生み出し、2010年にはフィンランドの芸術家に贈られる最高賞を受賞するなど、マリメッコを、そしてフィンランドを代表するアーティストのひとりだ。
そんな石本さんは2020年、50年以上過ごしたフィンランドを離れ、ふるさと愛媛に戻った。そして現在、松山・道後を拠点に新たな創作を続けている。
石本藤雄さん:
あれが障子山なんですよ。やっぱり、いいね。自分のこう、ふるさとっていうものがあるわけですから。みんな、それぞれにね。そういうところはいいですよ
石本さんのふるさと・砥部町は「砥部焼」で全国に知られる焼き物の里。そんな町に生まれ育った石本さんは、子どものころからものづくりが大好きだった。
ミカン畑に、野に咲く小さな花、そして、砥部のシンボル・障子山。世界中の人々を魅了してきた石本さんの創作の原点は、ふるさと・砥部だという。
石本藤雄さん:
フィンランドに住んでる時、松山に戻ってパッとこの障子山が見えるとね、本当懐かしくなったんです
都会に憧れて進学した東京芸術大学では、工芸科に進み「焼き物」も学んだ。
石本藤雄さん:
陶器はね、すごく面白かったですね。だけど、陶器やると…地元に帰る感じなんですよね。東京に出てきてるのに田舎には帰りたくないっていう。そんな気持ちもあったんです
大学を卒業後、繊維会社に就職したが、30歳を前に退職。海外を旅して、1970年にフィンランドへの移住を決めた。
石本藤雄さん:
フィンランドにマリメッコっていう会社があって、学生時代からすごく興味を持っていた。それでフィンランドに出かけて、僕自身は何もやったことないんですけど「テキスタイルデザインをやりたいんですけど」って言ったんですよね、むちゃな話ですけど
実は当時の石本さん、フィンランド語はおろか、英語もうまく話せなかったそうだ。それでもデザインブックと身ぶり手ぶりの面接で、マリメッコの関連会社で働くことになり、4年後、デザイナーとして正式にマリメッコに採用された。
石本藤雄さん:
結局、言葉で仕事するより、デザインっていうことはいくら言葉で説明しても、自身のデザインが良くなければ仕事にはならないんですよ。いかにデザインを採用してもらえるかっていうね。そういうクリエイトすることの連続でしたよね
さらに、フィンランドを代表する製陶所で陶芸を本格的に学び、石本さんのアートの世界はさらに広がっていく。