音楽あふれる街へ 中高生吹奏楽団、初の定期演奏会目前 滋賀・守山
◇30日デビュー
同市では1995年に創設された市民楽団「守山市民吹奏楽団」が、音楽の楽しさを伝える役割を果たしている。中高生も、それぞれの学校の吹奏楽部で腕を磨き、全国大会に出場するハイレベルな演奏を定期演奏会などで披露して市民を楽しませてきた。
しかし近年、教員の働き方改革の一環で部活動の時間が制限されて練習量が減り、技量を維持するのが難しい状況になりつつある。中学校の吹奏楽部を40年以上指導してきた元教員の武藤千尋さん(65)は「教員の負担が減り、生徒がやれることの幅が広がったのはいいこと。でも吹奏楽に打ち込みたい生徒の受け皿も作ってあげたい」との思いを抱き、若者の文化発信力の強化を考えていた市民ホールで中高生による新たな楽団の結成を考えた。
楽団名は守山がホタルのいる街作りを進めていることから、フランス語でホタルを意味する「ルシオール」を冠した。団員は57人。全員が学校の吹奏楽部と掛け持ちだ。練習は毎週土日のうちどちらか1回、3時間を基本とし、月1回はプロ演奏者によるパートレッスンも受けられる。
生徒の演奏や練習方法は学校ごとに個性があるため、それをまとめるのは至難の業だ。武藤さんはペンギンの群れの中で最初に海に飛び込む「ファーストペンギンになろう」と団員たちに呼びかけた。「勇気を持って自分の気持ちを開き、違っていても失敗しても受け止めてくれる集団だと信じて、伸び伸びとした音を出そう」と鼓舞している。
春休みは演奏会に向けて連日のように練習を重ねた。ホルンを担当する、県立守山高1年の西浦璃桜(りお)さん(15)は「プロのレッスンを受け、疲れにくい演奏法など技術的にも向上した。演奏会では人の心をほわっとさせる曲を聴かせたい」と話した。チューバを奏でる同高3年の藤本優花さん(17)は、「高校は別になった中学の同級生と一緒にやれるのがうれしい。意識的に他校の後輩にも声がけして、チームの団結力を高めている」と語った。演奏会で指揮をする大津シンフォニックバンド桂冠指揮の森島洋一さんは「だいぶ形になってきたね。当日は金賞の演奏になるよ」と、自信を見せている。
演奏会は午後1時半開場、2時開演。入場無料だが事前に配布する整理券が必要。曲目はワーグナー作曲「エルザの大聖堂への入場」▽さくらももこ作詞・相澤直人作曲の合唱曲「ぜんぶ」▽レハール作曲「喜歌劇微笑(ほほえ)みの国セレクション」――など12曲を予定。団員は随時募集。問い合わせは守山市民ホール(077・583・2532)。