nendoと陶芸の名家のコラボから垣間見えるデザインの本質。
遠くに比叡山・比良山を仰ぎ、琵琶湖を望む美しい自然に囲まれた近江・守山市にある〈佐川美術館〉は、日本画家の平山郁夫、彫刻家の佐藤忠良、陶芸家の十五代樂吉左衞門の作品を中心に展示する美術館だ。その〈佐川美術館〉で現在開催中なのが、異色のコラボレーション展『吉左衞門X nendo×十五代吉左衞門・樂直入』。
陶芸の名家である、樂家の十五代吉左衞門である樂直入が、深く影響を受けたもの、思惟を共有したもの、共感や感動したものとコラボレーションする〈吉左衞門X〉展は、これまでに彫刻家の深見陶治や画家の齋藤隆などさまざまなジャンルのアーティストと協業してきたが、13回目となる今回は、佐藤オオキを中心に設立されたデザインオフィスnendoとコラボレーションする。
本展は、nendoが樂直入の問いから着想したインスタレーションや、樂茶碗から新しいオブジェクトを制作したりする展示だ。樂茶碗を宙に浮かせることで時間の流れを表現したり、樂茶碗に特別な金属成分やインクを染み込ませ、柄を誘発させた作品など、樂茶碗のもつ形状やテクスチャー、時間軸などの観点から、見た目だけではなく、その思想までも表現する斬新かつ挑戦的な展示となっている。400年あまりの伝統を有する樂茶碗に、新たな視点をもってアプローチすることで、デザインの本質を垣間見ることができる。若かりし頃イタリアに留学していた経験のある十五代吉左衞門・樂直入と東京とミラノに拠点を置くnendo。二者のものづくりに対する想いが共鳴するコラボレーション展をお見逃しなく。
〈佐川美術館・樂吉左衞門館 〉滋賀県守山市水保町北川2891。2022年9月16日~2023年3月11日。9時30分~17時(入館は16時30分まで)。入館は要WEB予約。