「マジンガーZ」見て育ったイタリア出身研究者、日本語方言の未来案じ「オンライン辞書」
「沖縄県伊平屋村の(方言の)話者は300~400人程度と考えられる」
消滅の危機にある日本の方言の記録を残すプロジェクトの一環で、10日に国立国語研究所(東京)で開かれた研究発表会。専門とする同村の方言について発表したカルリノさんは、現地調査や村の人口を基に推定した話者の数の少なさに懸念を示した。
カルリノさんはイタリア出身で、「マジンガーZ」など日本のアニメを見て育ち、日本語に興味を持った。イタリアの大学で日本語を学び、2013年に来日。20年から九州大の研究員となった。
日本では交通網の発達などで標準語が地方にも浸透し、方言が使われなくなってきていることは、論文を読んで知っていた。方言の調査で何度も足を運んだ伊平屋村でも、「方言を話せるのは高齢者ばかり。若い人は聞き取ることはできても話すのは難しい」「これから先、方言がどうなるのか心配」といった声を度々聞いたという。
そこで、各地の方言のデータをまとめた辞書をつくり、インターネットで公開することを思い立った。九州大言語学・応用言語学研究室の下地理則准教授(46)の指導を受けながら、昨年3月にウェブサイト「日琉諸語オンライン辞書」を開設した。
辞書には、伊平屋村を始め、知り合いの研究者からデータの提供を受けた福岡県柳川市や沖縄県本部町など、今年5月末時点で国内外7地域、計約5700件の方言を収録。検索したい言葉を入力すると、各地域の方言とその発音やアクセントの型、名詞や動詞といった品詞の種類などが表示される。方言によっては音声を聞くこともできる。