文化財切り取り、新たに101点認定 岩手県教委、改めて謝罪
今回の調査対象となったのは、2003~18年度に預かった5301点で、31点は依頼者が切り取りを了承したか、はっきり分からないなどとして「不明」と判断した。県教委は当初、調査対象を約6000点としていたが計上漏れや二重計上があったという。
新たに無断切り取りが確認されたのは、紫波町の比爪館遺跡などで8点▽奥州市の白鳥舘遺跡で11点▽宮古市の島田2遺跡で2点▽軽米町の大開遺跡などで9点▽野田村の平清水3遺跡で32点▽県埋蔵文化財センターが預けた二戸市の不動館跡などで39点--だった。
県教委は問題発覚直後の19年6月に調査チームを設置し、外部の専門家らも加わり調査を進めてきた。同年12月に県内の重要文化財76点について調査結果を公表し、2点で無断切り取りがあったことを認め、14点は「切り取りはあったが所有者の承諾の有無が不明」としていた。
また、20年には青森県や福井県などから預かった重要文化財計116点について「所有者から切り取りの承諾を得ていた」とする調査結果をまとめた。
金属の保存修復が専門だった元上席専門学芸員による無断切り取りは、14年に内部で発覚し本人が約30点について認めたが同館は公表せず、19年6月に毎日新聞の報道で発覚した。長年にわたり、作業が1人に集中していたことも被害が拡大した要因の一つとみられる。
再発防止に向け、博物館の業務を「見える化」し、部署の枠を超えた体制作りなどに取り組むという。生涯学習文化財課の藤原安生・総括課長は「今後こうしたことがないよう関係機関と連携を深め、再発防止に取り組んでいきたい」と話した。