原坂一郎の子育て相談 自閉症の息子、将来が不安
中学1年の自閉症の息子を持つ母親です。4歳になっても歌を歌うくらいで言葉は出ず、不安な日々を過ごしました。周りの子供とすぐに比べてしまい、朝の幼児番組で同年代の子供が話したり元気よく歌ったりするのを見ると心が痛み、今でもその番組を見るたびに当時の不安な気持ちがフラッシュバックします。今ではもっとおおらかに笑顔で子育てをしたらよかったなと後悔しています。とはいえ子育てはまだまだ続きます。将来も考えると、息子が自分で考え、動けるようになるには、親も子もどんなことをしていけばいいかのご助言を願います。
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4歳の頃のお話が、急に中学1年の今に飛んでしまいましたが、書いていないだけで、その間のご苦労やあなたの努力は、計り知れないものがあったと思います。どういうふうに育てたらいいかなども、たくさん悩んでこられたことでしょう。でもあなたは、素晴らしい結論を自分で見いだされています。「おおらかに笑顔で育てたらよかった」とおっしゃいますが、今回のご相談は、それがすべての答えだと思います。
おおらかに笑顔で。今子育てをされているすべての親御さんに聞かせたい言葉です。それに気づき、今は毎日実践しているであろうあなたは、もう大丈夫です。その2つを忘れない限り、あなた方親子は何があっても乗り越えられると思います。
そうは言っても、将来のことが気になりますよね。ひとつ助言できるとすれば、息子さんの好きな物、興味を持っている物をつぶさに観察し、それを十分楽しめる環境を与えてあげてほしいということです。それが将来の道のヒントになることもあります。息子さんは、彼なりの成長を続けています。どんな小さな成長も見逃さない目を持ち、そのつど喜んだり楽しんだりすることもお忘れなく。
反抗期が来るかもしれませんが、そのときも対処法は同じですよ。そう、おおらかに笑顔で、です。息子さんはあなたがお母さんでラッキーでした。私はそう思います。(こどもコンサルタント)
◇はらさか・いちろう 23年間の保育士勤務を経て平成16年から、こどもコンサルタントとして研究・執筆・講演活動を行う。日本笑い学会理事。自他共に認める怪獣博士でもある。
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