「京都の若者たち」スペイン人が写す伝統的社会の10代【KYOTOGRAPHIE 2023】
参加アーティストの一人、スペイン出身のアーティスト、ココ・カピタンは2022年10月から2カ月間、京都に滞在して若者たちを撮影。撮影後、ココが若者たちに「おおきに」と感謝の意を伝えてきたことを踏まえて、プロジェクト名は「Ookini」になりました。その作品群がKYOTO GRAPHIEで公開。ココが制作にかけた思いを繙きます。
Coco Capitán
ココ・カピタン◯1992年、スペイン・セビリア生まれ。制作活動は写真、絵画、インスタレーション、散文など多岐に渡り、近年の個展に『Naïvy in 50 [definitive] Photographs』(パルコ・ギャラリー 東京 2022年)、『Naïvy』(マキシミリアン・ウィリアム・ギャラリー ロンドン 2021年)、『Busy Living』(ヨーロッパ写真館 パリ 2020年)などがある。
撮影=ココ・カピタン 編集=平田剛三(婦人画報編集部)
高校生、舞妓、禅僧生から狂言師の子息など、10代の男女にフォーカスして撮影を行ったココ。この「Ookini」プロジェクトの目的は、現代社会において伝統的な社会で暮らす人々を表現することでした。
「このプロジェクトを始める前まで、私の日本に対するイメージは非常に理想主義的でした。文化と自然の美しさ、細部へのこだわり、社会に対する禅や仏教の影響、集合的思考の捉え方など、日本のよい面しか見ていなかった。2カ月間過ごしてみて、“静かで礼儀正しい”と思っていたのは、自分の気持ちを語らず、ある種の話題に触れないことであって、思ったほど人々は簡単に心を開かないことも学びました。とはいえ、彼らと一緒にいることで、日本人の行動、考え方、文化全般がどこから来ていて、最も重要な価値観は何かが伝わってきました」
ココは、以前行ったプロジェクト「Naïvy」 で、セーラー服の集合的思考の問題に焦点を当てました。今回、日本の学校の制服についてかなり調べたといいます。「一部の日本の学校では、女子はセーラー服を着ています。スペインではカトリックの聖体拝領に行くとき、多くの男子がセーラー服を着ます。このように、異なる国や文化がそれぞれの文脈で同じユニフォームやシンボルをどう扱うかを観察して、そこにつながりを見るのが好きです。
また、制服姿の学生のほとんどが動物のキーホルダーやピンバッジを通学鞄に付けているのに気づきました。同じものを身に着けるように規定されながらも、個性を発揮する方法を見つけているのはとても興味深いことだと思いました」こうした視点で生まれた写真やテキスト、ビデオインスタレーションが3会場で展示を開始。「私の目を通した京都を、みなさんがどのように見てくれるか興味深く、楽しみです」