圧巻! 沖縄の名建築10【沖縄シティガイド】
沖縄らしさを体現した、圧倒的な存在感の市庁舎建築。
沖縄本島北部の玄関口、名護市。その街の中心地に突如として現れるのが、まるで城か要塞のようなこの建物。象設計集団+アトリエ・モビルが1981年に手がけた〈名護市庁舎〉は、圧倒的な存在感を放つ公共建築だ。沖縄という土地の文化や風土を反映し、また街の環境との連続性を意識して設計された。
素材の大半を占めるのはコンクリート・ブロック。潮風や台風に強く、また戦後に駐留したアメリカ軍の影響で急速に普及したコンクリートは、沖縄の建築に欠かせない存在。象設計集団+アトリエ・モビルは、この素材を積極的に用いることで「沖縄の質感」を表現した。
また、やんばる地方における祭祀の場所である「アサギ」をモチーフにしたルーバーなどにも、土地への敬意が感じられる。前面の広場からシームレスに建築へと繋がる街に開かれたこの建築は、完成から40年以上経った今、名護市を象徴する存在の1つとなっている。
沖縄県名護市港1-1-1。8時30分~17時15分。土曜・日曜休。
琉球王国の古都に建つ、伝統的意匠を取り入れた劇場。
那覇市に隣接し、かつては琉球王国の首都だった街、浦添市。その海沿いの開けた地に建つのが〈国立劇場おきなわ〉。「組踊」など沖縄の伝統芸能の伝承・発信を目的とした施設だ。設計を手がけたのは、高松伸。沖縄の文化や風土を反映する建築を模索する中で見つけたのが、「チニブ」と呼ばれる伝統的な民家の様式だった。
チニブとは植物を編んで作られた塀のことで、直射日光を遮りながら外気を取り入れることができる、沖縄の風土から生まれた技法。高松はそのチニブのデザインから着想を得て、外壁を大きく枝葉を編んだような意匠に手がけた。