「暑さ指数」リアルタイム公表 埼玉県、20カ所で観測
計測に使う指数計は、県の機関「環境科学国際センター」(加須市)が開発した。百葉箱に温湿度計やマイクロコンピューターなどを搭載した機器で、測った気温や湿度から暑さ指数を自動計算する仕組みだ。データを送信する通信装置も備えており、「進化する百葉箱」と名付けた。
観測地点はさいたま市北区の県立大宮工業高、熊谷市の県立熊谷工業高、行田市の県立進修館高など。各地点のデータは県気候変動適応センターのウェブサイトで公開され、パソコンやスマートフォンで無料で閲覧できる。今年は9月末まで続け、来年は7月初めの再開を想定している。
指数を独自に公表しようと決めたのは、熱中症で救急搬送されるケースなどが多く、より詳細なデータに基づく県民への注意喚起が不可欠と判断したためだ。環境科学国際センターの担当者は「県内は夏の暑さが厳しい。屋外で活動する若者らの熱中症のリスクを抑えたい」と話す。
暑さ指数は、人体と外気の熱のやり取りに着目した指標で、数値が高くなるほど熱中症になる可能性が増す。16日夕には全ての観測地点が28度以上31度未満の「厳重警戒」に該当した。
担当者は「28度以上だと全ての生活活動で熱中症の危険性が高まる。冷房の利用や外出を控えることなどが必要になる」と注意を呼び掛けている。(中村智隆)
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暑さ指数 熱中症予防のための指標。WBGTとも表記する。通常の気温計に加え、ぬれたガーゼに包んだ気温計などを使い、気温と湿度、日差しの強さから算出する。環境省によると、1954年に米国で提案された。単位は気温と同じセ氏で表示し、暑さ指数が31度以上だと「運動は原則中止」を意味する「危険」で、28度以上が「厳重警戒」、25度以上が「警戒」。その下に「注意」「ほぼ安全」と続く。