国の重要文化財「慈恩寺本堂」の茅葺屋根 70年ぶりに全層修理
746年開山と伝わる慈恩寺。平安時代は藤原摂関家や奥州藤原氏、鎌倉・室町期は大江氏、安土桃山~江戸初期は最上氏ら、寒河江荘周辺を支配した有力者の手厚い保護を受けてきた。度々焼失した本堂は1618年に最上氏が再建し、桃山様式の建物と重厚な茅葺屋根を特徴に1908年に現在の国重要文化財に当たる特別保護建造物に指定された。仏像や壁画なども国や県、市の文化財に指定されている。
本堂の屋根の全層を取り外すのは、1952~54年の修理以来。大江管長によると毎年1回の部分修理の他、2004年に表層のみ全面修理した。ただ、防水や防湿面の劣化が懸念されることから、国や県、市から補助を受けて大規模修理に踏み切ったという。
茅葺職人の減少が全国的な課題となる中、今回の工事には70年前の作業に参加した職人がアドバイザーとして参加し、技術伝承に協力する。また、本堂を足場と仮屋根で覆い、屋根の骨組みまで見られるようにする。
本堂では30日まで特別展「慈恩寺と大江広元の時代」を開催中だが、18日以降の本堂拝観は23、30日の日曜日のみとし、他の日は隣接する薬師堂と阿弥陀(あみだ)堂が拝観できる。11月下旬には本堂内の所蔵品を保護措置したうえで拝観を再開する方針。大江管長は「秋の行楽シーズン中の工事は参拝者に迷惑をおかけするが、ご理解を」と呼びかけている。【熊田明裕】