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「音楽通じ友人の声世界へ」大阪の歌手、ウクライナ民謡のCD発売へ
2023-02-06
「音楽通じ友人の声世界へ」大阪の歌手、ウクライナ民謡のCD発売へ

 音楽を通じてウクライナと交流する日本人歌手が、自らボーカルを務めるウクライナ民謡のCDを制作した。ロシア侵攻後のウクライナも訪ね、厳しい状況をひしひしと感じてきた。侵攻から1年となる24日に発売予定で、音楽を通じて現地の人たちの思いを伝えたいとの願いが込められている。

 ◇10年前から交流重ね

 大阪府八尾市に住むOno Akiさん(51)は30代前半から歌手として活躍し、ジャズ、オペラ、クラシックなど幅広く手掛けている。夫の小野元裕さん(53)は日本ウクライナ文化交流協会の会長を務める。その縁で、協会の活動の一環として、2012年からほぼ毎年ウクライナを訪れ、日本の伝統文化や芸能を紹介。自身も現地でコンサートを行い、首都キーウ(キエフ)で開かれたジャズフェスティバルに出演したこともある。

 22年9月、元裕さんとともにリビウなどウクライナ西部を訪ねた。印象に残ったのは街中の人々の険しい表情だ。「緊迫した雰囲気を感じた」と振り返る。

 滞在中に大学でライブを開き、ウクライナで親しまれている歌や国歌などを披露した。子どもからお年寄りまで100人近くが集まり、盛況だった。音響機材がそろわず、アカペラで歌ったが、観客は「日本からわざわざ来てくれた」と喜んだという。

 Onoさんはロシアによる侵攻以降、CDを制作するアイデアを温めてきた。「ロシアの理不尽さに憤りや悲しみを感じた。私にしかできないことを考え、音楽を通して友人たちの声を世界に届けることだと思った」と語る。

 ウクライナには各地に多くの民謡が伝わり、テンポが速く明るいものから、悲しみ深いものまで曲調もさまざま。収録曲はウクライナの友人に相談しながら、キーウの街並みを表現した歌や愛国歌など7曲を選んだ。

 その中の一曲に選んだのは「プリーネ カーチャ」。死を前に母親への思いをつづった曲で、古くから歌い継がれてきた。ロシアによる14年の南部クリミア半島併合以降、戦闘で兵士が亡くなった時などに歌われる機会が増えたという。

 プロミュージシャンが奏でるギターやバイオリンに合わせて、Onoさんが情感豊かに表現した。

 ◇同情よりも文化を知って

 大阪に住むウクライナ出身の女性2人もOnoさんの呼びかけを受けて参加している。コーラスを務めた中部の都市ジトーミル出身のアナスタシアさん(27)は日本のロック音楽が好きで、約8年前に来日し、「NASU」の名前でモデルとして活動している。ウクライナで暮らす両親や弟を思い、不安は尽きない。日本でウクライナへの関心は高まったが、「大変」「かわいそう」と同情されることに複雑な思いもあった。

 侵攻だけでなく、ウクライナの文化にも関心を持ってほしいと、Onoさんの協力要請を快諾した。「自分が音楽を通じて日本に興味を持ったのと同じように、日本の人にもウクライナのことを知ってほしい」と語る。歌手のエバ・ハダシさんも一部の楽曲でメインボーカルを務めている。

 CDのタイトルは「2・24 5a.m.」。添付されたCDブック(32ページ)にはウクライナ語の歌詞と日本語訳、解説のほか、Onoさんのメッセージも掲載している。1枚3300円(税込み)で、売り上げの一部をウクライナ支援に充てる。問い合わせ先は日本ウクライナ文化交流協会(072・926・5134)。【宮川佐知子】

ソース元URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/050cf6857b57012c9c934091f081219102d2dfed

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