思考・表現力、使える英語に重点 学力テスト
■情報を取捨選択
小学6年の国語で特徴的だったのは、「健康に過ごす」という観点で複数の文章を読み、自分ができそうなことを考えさせる設問。運動に関する文章を、運動の効果や食事の栄養素を解説したさまざまな文章と合わせて掲載し、情報を取捨選択した上で分かったことについて記述させた。
この出題が意図するのは、学習指導要領で示された「考えの形成」という学習テーマをクリアできているかの確認。自らの意見を整理して分かりやすく相手に伝えられるスキルは情報化社会のコミュニケーションに不可欠とされる。
問題の作成にあたった国立教育政策研究所(国研)の担当者は「すべての子供たちに身につけてもらいたい学習項目」としており、ここ数年の学力テストで同テーマの出題を繰り返している。
情報を的確に扱う力をはかる設問は、算数・数学でも目立った。小6の算数では、運動を種目・日付別に記録したカードや、運動した日数と人数をまとめたグラフ、分析内容について話し合う会話文など複数の情報を読み解かせた。
■「書く力」も確認
一方、中学3年の英語は、「使える英語」に不可欠な4技能の定着状況を確認。前回テストの平均正答率を技能別にみると、聞く(68・3%)と読む(56・2%)に対し、書く(46・4%)と話す(30・8%)の課題が色濃く表れた。
今回は、英語版ウェブサイトに掲載する学校紹介文を25語以上で書かせる記述式の出題があった。「事実や自分の考えなどを整理し、まとまりのある文章を書く」(国研)という思考力、判断力、表現力を問う内容で、前回も同じ傾向の出題があったが、正答率はわずか1・9%にとどまっている。
学校現場では、令和2年度から小学5、6年で英語が教科化。中学校でも3年度から授業が基本的に英語で行われるようになっている。今回のテスト結果は加速する教育改革の効果を検証する機会となる。(玉崎栄次)